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二人は入口の見張りの目に触れないよう、村の外縁を回って、土手を乗り越え、
畑の境界や物置の裏手を伝い、家々の背面にある細い隙間――足跡を消すよう慎重に進んだ。
完全に村の監視範囲を抜けたのは、川沿いの林に差し掛かった頃だった。
二人は立ち止まり、赤軍の外套を脱いで雪の中に押し込むと、川岸の茂みに身を
潜め、前方の様子をうかがう。
やがてその先から雪を蹴る音が聞こえ、続いて荒々しい罵声が交錯した。
乾いた銃声が断続的に響き、物や身体のぶつかり合う鈍い衝突音、雪に倒れ込む
重い音、ののしり合う声が交錯し始めた。
視界には、踏み荒らされた雪と泥にまみれた足が交錯し、時折、血に染まった顔や苦痛に歪んだ表情がよぎる。呻き声と、誰かが倒れた兵の上に覆いかぶさり、雪と泥の中で体をねじる様子が見える。
ヴァルターはフリンツと茂みに身を伏せ、息を殺して外の気配を探っていた。
味方はすぐそこだ。だがどちらが優勢で、どの瞬間に動けばいいのか、銃声と怒号の中では見極めようがなかった。
やがて音は静まり、残った者たちの荒い息遣いだけが静かに響く。
茂みの隙間に映ったのは、馴染みのある灰色の外套にゲートルの端。
ヴァルターはそっと息を吐き、安堵の表情を浮かべて茂みから体を起こす。
瞬間、目のあった至近のドイツ兵が、反射的に銃口を向ける。
「待て、俺―」
銃声とともにヴァルターの肩が跳ね、雪に倒れた。
フリンツの叫びが茂みを震わせるが、返るのは冷たい静けさだけだった。
END




