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西日に照らされた道の途中、同じく南西に向かう車列に、何度か行き当たった。
その都度、目立たぬようにルートを変えながらしばらく走っていると、やがて重い地鳴りの様な響きが伝わってきた。
双眼鏡を目に当て、前方をうかがう。
小さな村が視界に入り、そのさらに先には黒い煙が立ちのぼっていた。
「どうやら、既に始まってるみたいだな」
フリンツが低くつぶやいた
「……何が?」
「《冬の嵐》。マンシュタインの救出作戦さ」
二人は近くの茂みに車を押し込み、身を低くして村へと歩を進める。
遠くから断続的な銃声が響き、戦闘がすぐ近くで続いていることが分かった。
村はずれまでたどり着くと、物陰に身をひそめて様子をうかがう。
木造の家々は一見静かに見えたが、窓の奥には黒い影が動き、ソ連兵が拠点として使っているのが分かる。
納屋の裏手には放置された馬車があり、広場には見張りの兵士が立ち、銃を肩にかけて周囲を警戒していた。
千載一遇の好機だが、前線に近づくのは容易ではない。
日没の冷たい空気が肌を刺した。
-人民委員と護衛のふりをする →P.75
-命令を受けた兵士のふりをする→P.73
-見つからないように潜入する→P.74




