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灰の街を越えて *AI執筆  作者: gramgram


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74/131

p69

トランクには、工具やロープの類が乱雑に積まれていた。

ヴァルターが中からシャベルを引き抜くと、金属の刃が鈍く光った。

小銃を向けるフリンツの視線を背に、ヴァルターと人民委員の男は護衛の死体を

木立の奥へと運ぶ。


湿った土の匂いが濃く、踏みしめるたびに落ち葉が湿った音を立てた。

男は無言のまま、血に染まった制服を泥に擦りつけながら死体を引きずった。

肩で荒く息をし、額の汗と血が混じって頬を伝う。

その姿に、先ほどまでの威圧感は微塵も残っていなかった。


男がシャベルの刃を凍った地面に突き立てるなか、フリンツは木の幹にもたれ

煙草に火をつけた。


「やつはどうする?」

護衛の持っていたカービンを構えたまま、ヴァルターが聞いた。


「さあ……生かしといた方が、検問はやりやすいかもしれんが」

フリンツは、どこか遠くを見るように煙を吐き出した。


シャベルが硬い根にぶつかり、金属音が響く。

男は汗を拭いながら、掘り進めようとするが、進まない。

フリンツが煙草を地面に捨て、靴で踏み消した。


「もういい」

そう言って立ち上がると、男に向かって言った。

「 Раздевайся」

「П‑почему…」

「Раздевайся, живо」


男は震える指で外套の留め具を外し、泥にまみれた布を足元に落とした。

冷たい風が吹き抜け、肩が小刻みに震える。

制服のボタンに手をかけるが、かじかんだ指先が思うように動かない。

一つ外すたびに、白い息が荒く漏れ、胸が上下する。


「Я…」

声はかすれ、喉の奥で途切れた。


やっとのことで上衣を脱ぎ捨てると、薄いシャツ一枚の体が露わになった。

胸を両腕で抱き抱え、跪く罪人のように身を縮める。

「…Меня силой в армию загнали.

Я…этих коммунистов терпеть не мог…」


フリンツは黙ったまま、その白い吐息を見つめている。

下着になった男の脚は土の冷たさに震え、膝ががくがくと揺れた。

胸を押さえ、唇を噛みしめながら、声を絞り出す。

「Возьми… со мной… в Берлин. Там… город… терпимый.

Там и чёрных… и евреев… и даже гомо…」


乾いた銃声が木立に響いた。

男の体は崩れ落ち、護衛の死体に折り重なった。

フリンツはしゃがみ込み、男の上着の内ポケットから身分証を抜き取る。

「使えるな」

そう言って上着をたたむと、車へ歩き出した。


→P.72


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