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灰の街を越えて *AI執筆  作者: gramgram


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72/131

p67

その後、ヴァルターはやってきたソ連軍に投降した。

尋問、収容所、あるいはその先の運命まで覚悟はして。


しかし、実際に待っていたのは拍子抜けするほど軽い尋問だけだった。


数週間の拘置生活を終え、ヴァルターはあっさりと釈放された。


理由がわかったのは、ずっと後のことだ。

あのソ連兵――

瓦礫の中で抱き合ったリュボフ・イワノヴナ・マリチェンコは、

党役員の娘でありながら、前線勤務を志願した”模範的女性”だった。


「ほんとうに、ありがとう」

たどたどしいドイツ語で、リュボフは会うたびに感謝を伝えてきた。


戦争の中で生まれた奇妙な縁だったが、

彼女の笑顔は、ヴァルターにとって唯一の救いだった。


しかし、傷が癒えると同時に、新たな現実が突きつけられた。


救われた命で人民に貢献する。

それが、新たな生活を許す代償として、かつての占領者(アクパーンティ)に課された条件だった。


リュボフは泣きながらヴァルターの手を握った。

ヴァルターは彼女の腹の膨らみをそっと撫で、胸の奥で固く誓った。




出発の日。

曇り空の下、兵士たちが乗り込む船の甲板に立つ。

冷たい風が吹き抜ける。


漏れ聞くところによれば、行き先はシュムシュー(占守)という場所らしい。


ヴァルターは遠ざかる岸を見つめた。

彼女の姿はもう見えない。

だが、温もりだけは、まだ胸に残っていた。


(必ず……帰る)


船はゆっくりと港を離れ、

灰色の海へと進んでいった。


END



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