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二人は護衛の死体を背負って森の奥へと運んだ。
枝葉のざわめきに紛れ、血の跡を隠すように深い茂みに押し込む。
息を切らしながら戻ってくると、そこにあるはずの軍用車は影も形もなかった。
代わりに、地面に転がった発煙筒から緑の煙が立ち昇っている。
「……やられた」
ヴァルターの声は乾いていた。
二人はその場を離れ、陽の差す荒れ地を走り出す。
だが木立を抜けると、そこにはもう隠れる場所はなかった。
焼け焦げた大地が広がり、昼の光にさらされて遮るものは何もない。
やがて背後から車輪の唸りとバイクの排気音が重なり合って迫ってくる。
追跡の輪が狭まっていくのは明らかだった。
それでも足を止めることはできない。
わき腹が裂けるように痛み、呼吸は荒く、視界が白く霞む。
逃げきれないと分かっていても、二人はただ走り続けるしかなかった。
END




