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灰の街を越えて *AI執筆  作者: gramgram


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66/92

p63 完全日本語版

フリンツはヴァルターを座らせ、毛布をぐっと引き寄せた。

血のにじんだ包帯を首にぐるりと巻き、端を押さえて染みを見える位置に出す。


ヴァルターが顔をしかめると、フリンツは低い声で言った。

「お前はチフス患者だ。熱と疲労でほとんど話せない。

うめき声以外は出すな。わかったか?」


フリンツはヴァルターの肩に手を当て、二人で外へ歩き出した。

粉雪交じりの北風が顔を刺し、鼻の奥が冷たくなる。


南西へ向かう人波に沿って進むと、やがて検問に並ぶ列に出くわした。

薄く凍った足跡をたどりながら、前の列が一人ずつ詰まり、自分たちの順番が徐々に近づいてくるのがわかった。


下士官らしき男が手を止め、帳簿から顔を上げる。

「そいつはどうした?」


「チフスかもしれません。熱で意識が朦朧としている」

フリンツはかすれた声で答え、言葉ごとに息を切らす仕草を混ぜた。


衛生兵が包帯の端をちらりと覗き込み、指先で軽く触れてから顔をしかめる。

フリンツはヴァルターの頭を下に向かせ、正面を見せない。

周囲の兵士たちがざわめき、視線が集まる。

チフスの六文字に自然と距離が生まれ、誰も近寄ろうとはしない。


何事か耳打ちする部下に、下士官は帳簿から目を離さず、煩わずらわしげに手を振る。

それを幸いに、フリンツはヴァルターの肩を押し、ゆっくりと背中を向けた。

ヴァルターは俯いたまま、足元を見ながら歩き出す。


「おい、そこの二人」

背後から、低く通る声が響いた。

フリンツの足が止まり、ヴァルターの肩がわずかに揺れる。


振り返らずに立ち止まると、部下の男が近づいてきた。

記録板を脇に抱え、二人を見てから、短く言った。


「……じきに衛生所行きのトラックがくる。そっちに乗れ。」

男は荷台の待機場所を指さす。

フリンツは一瞬だけその指先を見て、すぐにヴァルターの腕を引いた。




トラックが速度を落とすにつれ、周囲の空気がざわめき始めた。

医療所らしきテントは外まで負傷者で満ち、看護兵が大声で指示を飛ばしつつ

運び込まれる担架を選別していく。



「このまま野営の外に出られないか?」

荷台を降りながらヴァルターが尋ねると、フリンツは首を振った。

「無理だろうな。恐らく、南西側で衝突が起きてる」

「救援部隊か?」

「わからん。ただ、仮に包囲網ここから出られたとして、戦線まで数十キロはある」


テントの中は生気を失った人間であふれていた。

生死の定かでない兵士たちが詰め込まれ、収まりきらないものは、雪に敷かれた

ぼろ布に横たえられている。


その一人に、軍医らしき男が足をとられ、転びかけた。

男は蹴つまづいた兵士のまぶたを、無造作に指で押し上げたあと、苛立ちを露わに叫ぶ。

「誰か、こいつを片付けろ!」


だが、あたりは皆手一杯なのか、駆け付ける者はいない。

怒声は空返りし、軍医は舌打ちと共に歩き去る。


ヴァルターは顔を上げずに言った。

「うまい手があるかもしれない」

フリンツが怪訝な表情で、周囲を一瞥する。



-医療所で通行に必要な書類を奪う→P.70

-医療所で死体を捨てる作業をかってでる→P.64



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