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灰の街を越えて *AI執筆  作者: gramgram


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56/108

p55

1943年 11月

ルブリン


霜の降りた草の上で、ヴァルターたちは火を囲んでいた。


で隊列が崩れ、気づけば本隊とはぐれ、指揮官の姿もない。


この二日は、ろくな食事をとっていないし、水も尽きかけている。


あくまで本隊との合流を目指すか、

それともこのまま逃げ出すか――


どちらも現実味がなかった。


草を踏む足音が近づき、2人目の兵士が戻ってきた。

頬はこけ、肩で息をしている。


「……あっちに家があったぞ。煙も見えた」

その言葉に、全員が視線を上げる。


国境を越えて以降、通った村はほとんどもぬけの殻で、蛆の湧いたパンすら残っていなかった。

仮に人間がいたとして、分け与えられるものなどありはしないだろう。


略奪は銃殺――

この場の誰もが知っているはずだ。

疲れ切った目、泥にまみれた頬、そして虚無の色。

銃を肩にかける音が、冷えた空気に吸い込まれた。




村と呼ぶには、(いささか)かまばらな家々に、人の気配はなかった。

開け放たれた戸口から、台所や納屋をのぞいて回る。

土間に置かれた樽は空で、下に砕けた陶器が残っているだけ。

パン箱を開けても、乾いた屑が指先に触れるだけだった。

誰もが無言のまま、家から家へと足音を響かせる。


やがて、滑車が傾いた井戸の前で、一人が顎を上げた。


「……ありゃあ、なんだ?」


家々の隙間から、灰色の屋根がのぞいていた。

村から少し離れた林の縁に、低く長い線を引くように伸びている。

屋根の上に、細い筋が揺れていた。


「煙だ……」

煙は風に押され、途切れながら空へ消えていく。


近づくにつれ、建物の輪郭がはっきりしていった。

周囲には、錆びた鉄条網や見張り台の残骸らしきものが見える。


外壁には焦げたような黒い跡が残り、窓は板で塞がれている。

歪んだ門扉を押し開けると、敷地には泥に貼り付いた布切れや木札、用途の分からない金具がいくつも転がっている。


建物の奥からは、かすかな臭気が漂っていた。

湿った土と金属、そして焦げたものが混じった匂い。


→P.59




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