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灰の街を越えて *AI執筆  作者: gramgram


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51/131

p50

ヴァルターは、膝まで埋まる泥を蹴り立て、近くに転がる鉄の塊へと飛び込んだ。

それは、砲塔がひしゃげ、内部から焼け焦げた異臭を放つ戦車の残骸だった。

分厚い圧延鋼板の感触は冷たく、しかし同時に、降り注ぐ死の嵐を遮る唯一の「壁」として、この上ない安心感をヴァルターに与えた。


飛来する8.8cm砲弾が空を切り裂き、周囲の土壌を狂ったように跳ね上げる。

鋭利な破片が鋼鉄の車体に当たってカン、カンと甲高い音を立てて弾かれた。

剥き出しの平原に身を晒していれば、肉体は容易く細切れにされていただろう。


重厚な車体に背を預けた直後、泥を跳ね上げる激しい足音と共に、一人の男が戦車の中へ転がり込んできた。


青い縁取りのついた制帽――人民委員部の督戦隊員だ。

部隊から孤立した男は荒い息をつきながら、手にしたトカレフをヴァルターに

突きつける。


「何を止まっている、ファシストの犬め! さっさと前へ出ろ!」


男の目は恐怖で血走り、狂乱に近い怒声が響く。

車体を叩く砲片が火花を散らし、男は怯えたように身を縮めながらも、ヴァルターを力任せに蹴りつけた。


ヴァルターは泥に塗れた顔を上げ、男を冷ややかに見据える。


至近距離で炸裂した砲弾が、一時的に周囲の音を奪い、視界を土煙で覆った

その瞬間。

ヴァルターは男の腕を払い、引き抜いた銃口をその顎下へと突き立てた。


「……お前が先に行け(イジー・ぺールヴィム)

乾いた発砲音が轟音に掻き消され、隊員の体は力なく泥の中へと崩れ落ちる。


ヴァルターは、泥に塗れた履帯の隙間から前方を凝視した。

黒煙の向こうの陣地からは、容赦ないMGの銃声が響き続けている。


突撃で倒れた物言わぬ肉塊に足をかけ、ヴァルターは前へと進んだ。


→P.55

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