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灰の街を越えて *AI執筆  作者: gramgram


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42/131

p42

ヴァルターの思考を支配したのは、愛国心でも忠誠心でもなく、剥き出しの生存本能だった。

まともな武器も援護もなく、泥濘の丘を越えて機関銃陣地へ突撃するなど、自殺

志願のすることだ。


「……冗談じゃない」


将校が号令を下し、怒号とともに「亡霊の群れ」が前方へ動き出した瞬間、ヴァルターは逆方向に身体を反転させた。

爆煙と泥飛沫、そして叫び声。

その混乱に乗じて、トラックの影、あるいは砲弾跡を縫うようにして、来た道を

必死に這い戻る。


泥を噛み、雪混じりの風を切り裂いて、彼は背後の「静寂」へと手を伸ばした。

だが、その視界に、一列に並んだ軍靴の列が飛び込んでくる。


冷徹な視線。外套の襟に光る、青い縁取りの階級章。

そこにいたのは、前進する懲罰兵たちの背中を見張る、NKVD(内務人民委員部)督戦隊とくせんたいだった。


「どこへ行く、同志」


感情の失せた声が降る。

ヴァルターが口を開きかけた瞬間、複数の銃口が一斉に火を噴いた。


身体にいくつも熱い衝撃が走り、ヴァルターの視界は黒い泥へと沈んでいった。


遠ざかる砲声のなか、彼が最後に聞いたのは、繰り返される通訳の叫びだった。

「一歩でも退く者は、祖国の敵として抹殺する!」


END


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