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灰の街を越えて *AI執筆  作者: gramgram


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p4

ヴァルターは外套を身にまとい、兵士たちの後に続いた。

川へ向かう道は、廃墟の隙間を縫うように続いている。

雪は止んでいたが、空気は刺すように冷たい。

口をきくものはいない。

足音だけが、霜と瓦礫の上に響いていた。


この一帯で、味方の勢力圏は“線”のように細く、その外側にはすでに赤軍が押さえている。

廃墟の影に身を寄せながら進むのは、敵地を歩くのと大差なかった。


川岸に近づくにつれ、風が強くなった。

ヴォルガの流れが、夜の闇の中でうねっている。

氷は完全には張っていない。

ところどころ割れ、黒い水面が覗いていた。


前方でカールが手を上げた。

兵士たちは散開し、それぞれ別の渡河点へ向かう。

一か所に固まれば、見つかったときに全滅する。


ヴァルターは一人、川岸の低い段差に身を伏せた。

背後の廃墟の向こうには、敵軍の巡視がいる。

距離は遠いが、灯りをともせば丸見えだ。


対岸は暗く、詳しい様子は知りようもない。

だが、砲撃の音は遠くから響いていた。

外套の裾を締め直し、背嚢の重さを確かめる。


川風が顔を撫でる。

水面の向こうに、何が待っているかは分からない。

ヴァルターは息を吐き、氷の縁に足をかけた。


氷は思ったよりもしっかりしていた。

だが、油断はできない。

一歩ごとに、足元から鈍い音が響く。

そのたびに、背筋がこわばった。


ヴァルターは身を低く保ち、川面を渡る。

風が強く、外套の裾がはためく。

氷の上では、それすらも音になる。


そのときだった。

遠くで、低く唸るような音がした。

ヴァルターは思わず身を伏せる。


——砲撃。


音の方向は、背後。

振り返ると、スターリングラードの市街地に、

火の粉のような閃光がいくつも走っていた。


気付かれたのか。

そう思った瞬間、別の砲弾が空を裂いた。

だが、着弾は市街の中心部。

工場地帯のあたりだ。


ヴァルターは息を殺したまま、耳を澄ませる。

砲声は断続的に続いている。

だが、こちらへ向かっている気配はない。


——別の目標への砲撃だ。


そう思った矢先、

一発の砲弾が、川の中ほどに落ちた。

氷が砕け、黒い水柱が立ち上がる。

破片が飛び、氷面に鋭い音を立てて降り注いだ。


ヴァルターはとっさに伏せ、腕で頭を覆った。

水しぶきが頬をかすめ、外套の肩を濡らした。


そのとき、前方の氷面に何かが揺れているのが見えた。


黒い影。


近づくと、一人の兵士が氷の割れ目に落ちていた。

片腕を氷の縁にかけ、必死に水をかいている。

顔はわからないが、外套は自分が着ているものと同じに見えた。



- 手を伸ばす→P.11

- つかまれ、と銃を差し出す→P.19



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