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瓦礫の陰に身を沈め、二人はしばし無言で呼吸を整えた。
やがて、フリンツが口を開いた。
「……外では救出部隊が動いていたらしい。
俺たちは、退路を確保する準備を進めろとだけ言われていた。
だが、脱出命令は最後まで下りなかった。
パウルスは決断を渋り続け、結局包囲は閉じた」
フリンツは苦笑し、肩をすくめる。
「司令部の連中は紙の上で戦っている。
だから俺は……自分で道を探すしかなかった」
ヴァルターは何も言わず、ただ銃を握り直した。
そのとき、通路の奥から低い唸りのような音が響いた。
壁際の配管がわずかに震え、継ぎ目から白い霧が細く漏れ出す。
嫌な予感が胸をよぎった瞬間、鋭い破裂音が重なり、圧縮された蒸気が爆ぜるように吹き出した。
白濁した霧が視界を覆い、通路全体が震えるように揺れる。
肌を刺す熱気から顔を庇いながら、ヴァルターは荒い息を吐いた。
敵が異常を察知するのは時間の問題だ。
- 蒸気の音に紛れて強行突破する →P.41
- 瓦礫を動かして蒸気の流れを逸らす →P.37
- 蒸気の近くに潜み、敵が調べに来るのを待つ →P.39




