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灰の街を越えて *AI執筆  作者: gramgram


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35/92

p35

将校は苛立ちを隠そうともせず、吸い殻をコンクリートの床に踏みつけた。


「……これ以上は時間の無駄だな」


ヴァルターの耳には、その言葉さえも遠い海の鳴動のようにしか聞こえなかった。

視界は赤黒く濁り、己の肉体がどこまで続いているのかさえ定かではない。


彼はもう、救いを求めていなかった。

パンも、温かな寝床も、故郷の家族の顔さえ、今の彼にとっては輪郭のぼやけた

砂の城に過ぎない。


将校がホルスターからトカレフを抜き、銃口をヴァルターの眉間に押し当てる。


「言い残すことはあるか」


ヴァルターは、重い瞼をわずかに押し上げた。

声は出なかった。

だが、ひび割れた唇が、かすかに、嘲笑うかのように歪んだ。


乾いた銃声が、地下室の冷気を震わせた。

ヴァルターの頭が後ろへ跳ね、椅子ごとゆっくりと倒れ込む。

砕けた意識の断片が、真っ暗な泥の中に沈んでいく。


最後まで彼を包んでいたのは、愛国心でも忠誠心でもなく、言葉にできないほど

純粋で、救いようのない「拒絶」の感覚だった。


END

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