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床面の通気口からは冷気が吹き上がっている。
ここなら多少は呼吸が楽になるかもしれない。
ヴァルターは一歩、その金属格子の上に足を運ぶ。
冷気に混じって粉塵が舞い上がり、格子の隙間から鈍いきしみが響いた。
思わず足を止め、下を覗き込む。
暗いシャフトの奥で、歪んだ支柱が不安定に揺れている。
次の瞬間、格子の支柱が裂けるように折れ、金属板が崩れ落ちた。
ヴァルターの体は通気口の奥へと吸い込まれ、鋭い鉄骨に叩きつけられる。
暗闇の底で、彼の意識は砕けるように途切れた。
END




