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灰の街を越えて *AI執筆  作者: gramgram


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p26

包帯を巻き終えたころには、指先がかすかに震えていた。

消毒代わりのウォッカの匂いが袖に残り、腕はまだ熱を帯びている。

それでも、さっきまでの鋭い痛みはわずかに和らいでいた。


(……今なら動ける。ここを離れないと)


ヴァルターは壁に手をつき、ゆっくりと立ち上がる。


ソ連兵の肩を借り、互いに支え合うようにして歩き出した。

家を出ると、冷たい外気が火照った頬を撫でた。

夜気が肺に入り、頭が少しだけ冴える。


だが、数十歩を過ぎたあたりで、左腕の奥に鈍い痛みが戻り始めた。

歩くたび、脈打つように熱が広がる。


さらに進むと、包帯の内側がじわりと湿る気配があった。

指先でそっと触れると、布越しに温かさが伝わる。


(傷が……開いたか)


どうにか建物の影までたどり着き、壁にもたれ込むように座り込むと、ソ連兵も

限界だったのか、隣で静かに横になる。


服を脱いで傷を確かめようとしたが、左腕が思うように動かない。

肩を引き上げた瞬間、鋭い痛みが走り、身体が勝手に前へ倒れ込んだ。


地面についた手に、力が入らない。

起き上がろうとしても、腕が震えるだけで身体が持ち上がらなかった。


(……ここまで消耗していたのか)


呼吸が浅くなり鼓動の音が遠のいていく。


瞼が重い。

閉じるな、と命じても、

視界はゆっくりと暗く沈んでいく。


そして闇が、静かにすべてを包んだ。


END


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