25/92
p25
壁際の配管の下を選んだのは、他よりも温かかったからだ。
冷気に震えていたヴァルターには、それが休むのに適した場所に思えた。
背を預けようとしたそのとき──耳にかすかな異音が届いた。
金属の内部で、圧が押し合うような低い唸り。
一瞬、ざらついた不安が胸をよぎる。
「おい、そこは──」
フリンツの警告が届くより早く、配管全体が震え、甲高い軋みが通路に走る。
次の瞬間、継ぎ目から白い蒸気が轟音とともに噴き出した。
高温の蒸気が二人を包み、皮膚を焼き、呼吸を奪った。
視界は真白に閉ざされ、逃げ場はなかった。
END




