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灰の街を越えて *AI執筆  作者: gramgram


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2/131

p2 


あたりが暗くなり始めた。

ヴァルターは瓦礫の陰から身を起こし、市街南部の廃工場地帯へ向かった。


そこは包囲が始まってからも、辛うじてドイツ側が保持していた区域だった。

攻勢の中心である北側の工場群とは違い、敵も手薄で監視も粗い。

夜間なら、川岸へ出られる可能性はあるが、どこに罠が潜んでいるかわからない。


地下通路、崩れた配管、廃棄された機械の陰——


ヴァルターは慎重に進んだ。

焼け焦げた鉄骨の間を抜け、崩れた壁の隙間を潜る。

待ち合わせの場所は、屋根の崩落した工場らしき建物だった。


その入り口に向かって、小石を二つ投げる。

一つは壁にあたり、もう一つは中に転がった。


しばらくして、暗がりから数人の影が現れた。

先頭はカールだった。


ヴァルターは一瞬ぎょっとした。

全員が赤軍の外套をまとっていたからだ。


「お前の分だ」

カールが一着を差し出す。

「ちょうど一つ、余ったんでな」


ヴァルターは受け取った。

暗い中でも、背中一面に乾いた血がこびりついているのがわかる。


「……全員で渡河を?」



カールは肩をすくめた。

「狙いが分散する方がいいからな。

渡ったら東岸の低地に出て、そこから南東へ下る。

アクチュパ川の流域は人家も少なく、前線帯から外れて、追跡も薄くなるそうだ」


「どこで仕入れたんだ、そんな話」


情報部(アプヴェーア)が捕まえた工兵が吐いたらしい。

尋問に立ち会った通訳の話だが、確かめたやつはいない。

集合地点は、川を渡って三キロ先の送電塔跡だ」


ヴァルターは、頭の中で地図をなぞった。

ヴォルガ河の向こうに広がるのは、かつて補給路の末端にあった荒地だ。

低く湿った岸辺と、雪に埋もれた畑。

その先には、白く凍てついた草原が続いている。



兵士たちの顔は、疲労と緊張でこわばっている。

どれも死人のように蒼白で、目の奥に光はなかった。


ヴァルターは外套を握りしめたまま、川風の匂いを感じた。

遠くで氷が軋む音がした。


- ヴォルガ川へ向かう→P.4へ

- 市街地に留まり、別の脱出手段を探す→P.5へ



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