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灰の街を越えて *AI執筆  作者: gramgram


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119/131

p108

ヴァルターはワイヤーを配管に二重に巻き付け、端をねじって軽く固定した。

金具の代わりに帯のように抱え込ませ、不自然にならない程度の張りに調整する。


外していた台座を元の位置に戻し、残っている二つのナットを指で仮にかける。

錆はあるが、油が馴染んだおかげで回りは悪くない。


ヴァルターはトルクレンチを手に取り、一つ目のナットにそっとかけた。

長い柄の重みが手首に伝わる。


ゆっくりと力を加える。

金属がわずかにきしみ、ナットが締まっていく感触が手に返ってくる。


さらに少し力を加えた瞬間――


カチッ。


乾いた小さな音が、バッテリー室の重い空気の中で鮮明に響いた。


(……よし)


続いて二つ目のナットにもレンチをかけ、同じように締めていく。


カチッ。


二度目の音が鳴ったとき、台座はしっかりと配管を抱え込んでいた。

見た目にも不自然さはない。


ヴァルターは工具を包みに戻し、通路側へ身を寄せて若い兵士に合図を送る。


その直後、艦内スピーカーが甲高く鳴り響いた。

「敵艦接近――全乗員、急速潜航準備!」


通路の空気が一気に張り詰め、乗員たちの足音が鋭く響き始める。


ヴァルターも補機室へ戻り、扉を閉めると、自分の手首に手錠をかけた。


艦が沈み込むように揺れ、船体全体が深海へ滑り込むように傾いた。

機関の唸りが低く響き、水圧が増していくのが壁越しに伝わる。



しばらくの間、艦は一定の振動を保ったまま進んだ。

異音もなく、補機室の空気も静かだ。


時間だけがゆっくりと過ぎていく。

敵艦の追跡を振り切ったのか、艦内の緊張も少しずつ緩んでいくように感じた。


だが――

突然、艦全体がわずかに震えた。


続いて、

「ゴウン……」

と低い音が響き、推進音がふっと弱まる。


ヴァルターは顔を上げた。


(……止まった?)


艦はまるで海中で足を止めるように、ゆっくりと動きを失っていった。


→P.110


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