表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灰の街を越えて *AI執筆  作者: gramgram


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

118/131

p107

ヴァルターはワイヤーの端を指に巻き付け、ぐっと力を込めて引いた。

金属がわずかに軋むほど強く張り、配管に食い込むように密着する。


(……これなら、外れない)


端同士をねじり合わせ、さらにもう一度ねじって締め上げる。

余った部分を折り返して寝かせ、飛び出しが目立たないように整えた。


次に、外していた台座を元の位置に戻す。

指で仮にかけておいたナットに、ヴァルターはスパナをそっと当てた。


金属の冷たさが手袋越しに伝わる。


ゆっくりと力を加えると、ナットがきしむような音を立てて締まっていく。

ワイヤーと台座が合わさり、配管はしっかりと固定されたように見えた。


(……よし。見た目は問題ない)


ヴァルターは工具を包みに戻し、通路側へ身を寄せて若い兵士に合図を送った。


その直後、艦内スピーカーが甲高く鳴り響く。

「敵艦接近――全乗員、急速潜航準備!」


若い兵士は一瞬目を見開き、すぐに駆け足で持ち場へ戻っていった。


ヴァルターも補機室へ戻り、扉を閉めると、自分の手首に手錠をかけた。


艦が沈み込むように揺れ、船体全体が深海へ滑り込むように傾いた。

機関の唸りが低く響き、水圧が増していくのが壁越しに伝わる。



しばらくの間、艦は一定の振動を保ったまま進んだ。

異音もなく、補機室の空気も静かだ。


時間だけがゆっくりと過ぎていく。

敵艦の追跡を振り切ったのか、艦内の緊張も少しずつ緩んでいくように感じた。


だが――

突然、艦全体がわずかに震えた。


続いて、

「ゴウン……」

と低い音が響き、推進音がふっと弱まる。


ヴァルターは顔を上げた。


(……止まった?)


艦はまるで海中で足を止めるように、ゆっくりと動きを失っていった。


→P.112


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ