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灰の街を越えて *AI執筆  作者: gramgram


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117/131

p106

ワイヤーを配管に二重に巻き付け、端同士をペンチでねじり合わせる。

金具の代わりに、細い金属の帯が配管を抱え込む形になった。

ねじり部を折り返して寝かせると、応急処置としては十分なはずだ。


ヴァルターは外した台座を元の位置に戻した。

ナットを切断してしまったため、台座は壁に寄りかかるだけで、ガタついて

安定しない。


(……仕方ない)


ヴァルターは通路側へ身を寄せ、若い兵士に小さく合図を送った。


その瞬間、艦内スピーカーが甲高く鳴り響く。


「敵艦接近――全乗員、急速潜航準備!」

若い兵士は、すぐに駆け足で持ち場へ戻っていった。


ヴァルターも補機室へ戻り、扉を閉めると、自分の手首に手錠をかけた。

金属の輪が冷たく締まり、まるでずっとここにいたかのように見える。


艦が沈み込むように揺れ、船体全体が深海へ滑り込むように傾いた。

機関の唸りが低く響き、水圧が増していくのが壁越しに伝わる。


(……大丈夫だ。何も起きていない)


しばらくの間、艦は一定の振動を保ったまま進んだ。

異音もなく、補機室の空気も静かだ。

さっきの作業が影響している気配はまったくない。


時間だけがゆっくりと過ぎていく。

敵艦の追跡を振り切ったのか、艦内の緊張も少しずつ緩んでいくように感じた。


だが――

突然、艦全体がわずかに震えた。


続いて、

「ゴウン……」

と低い音が響き、推進音がふっと弱まる。


ヴァルターは顔を上げた。


(……止まった?)


艦はまるで海中で足を止めるように、ゆっくりと動きを失っていった。


補機室の空気が、静寂と不安で満たされていく。


→P.110

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