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灰の街を越えて *AI執筆  作者: gramgram


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114/131

p103

ワイヤーを配管に二重に巻き付け、端を軽くねじって固定する。

強く締めれば不自然に見える気がして、

ヴァルターはあえて少しだけたわみを残した。


(……これでいい。たぶん)


外した台座を元の位置に戻す。

ナットを切断してしまったため、台座は壁に寄りかかるだけで、わずかに揺れる。

だが、見た目だけなら元通りに見えた。


ヴァルターは工具を包みに戻し、通路側へ身を寄せて若い兵士に合図を送った。


その直後、艦内スピーカーが甲高く鳴り響く。

「敵艦接近――全乗員、急速潜航準備!」


空気が一気に張り詰め、若い兵士は短くうなずいて駆け出した。


ヴァルターもすぐに補機室へ戻り、扉を閉めると、自分の手首に手錠をかける。


数秒後、艦全体が沈み込むように揺れた。

ほどなく、補機室の奥から、金属が暴れるようなガタガタという音が響き始める。

揺れは次第に激しくなり、やがて、鋭い破断音が空気を裂いた。


(……何事だ?)


続いて、怒涛のような水音。

ヴァルターのいる部屋までは届かないが、壁越しに響くその音は、艦が深海に

引きずり込まれるような圧を帯びていた。


そして――

どこかで液体が激しく泡立つような、耳慣れない音が混じり始める。


シュー……ッ。


次の瞬間、鼻の奥を刺すような強烈な刺激臭が、薄い霧となって補機室へ流れ

込んできた。喉が焼けるように痛み、目の奥がじんと熱くなる。

呼吸をするたびに肺が痙攣し、視界が揺れ、足元がふらつく。


意識が遠のいていく中、あらゆる音が遠ざかっていった。


END


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