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ヴァルターはスパナをいったん下ろし、工具包の端に押し込まれていた細長い金属容器を取り出した。揺れる灯りの下で、中の液体が鈍く光る。
(……これで少しは動くか)
ナットの根元にそっと傾けると、とろりとした油が金属の隙間に吸い込まれていく。錆の粉がじわりと濡れ、暗い色に変わっていくのが見えた。
油が馴染むまでの数十秒が、やけに長く感じられる。
バッテリー室の空気は重く、遠くで艦の機関が低く唸っている。
ヴァルターは容器を工具包に戻し、濡れたナットに視線を落とした。
スパナを握りかけて――ふと、隣に置かれた長い柄のトルクレンチに気付く。
-スパナを使う→P.104
-トルクレンチを使う→P.105




