前へ目次 次へ 100/131 p89 ヴァルターは、艦長の問いに静かに答えた。 「……考えているのは、イギリス軍への降伏です。 彼らなら捕虜として真っ当に扱われる可能性が高い。 少なくとも、ソ連よりは生き残れる見込みがある」 艦長の視線が海図へとゆっくり落ち、紙の上をなぞる指が途中で止まる。 顔は上げないまま、横目だけがヴァルターを見た。 その短い視線に、言葉にしない疑念が滲んでいる。 「……どこの英軍に降伏するつもりだ?」 - キプロス島へ向かう→P.92 - クレタ島へ向かう→P.94