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作戦会議

 聖都でも、この事態への対応のため会議が開かれていた。大神殿の会議室には使徒家が招集されている。出席している当主はザーリアー、カドラス、ベルンフォード、シュデースである。シアレットから駆けつけたばかりのシオンもいた。教主は引き連れてきたベルダットに聖杖を預け、上座に座していた。


「シオン、来てくれてありがとうございます。移動で疲れているでしょうが、報告をお願いします」

「勿体ないお言葉です、猊下。先月末に起きた襲撃について、改めて詳細をご報告致します」


 聞き届けた教主は、やや目を細めた。


「そうですか。聞いていた以上に、南部は安定しませんね。楽団の侵攻も始まりましたし、厳しい状況を覚悟しなければならないでしょう。……リゼルドからの返書は?」

「朝に早馬が参りました。地境の危機には、可能な限り迅速に対処するとのことです」

「一日も早く、聖都に帰還するよう伝えて下さい。改めて楽団への方針を考えなければいけません」


 その後もザーリアー家の当主グレーデが進行を担い、教主は合間合間に指示を下す。普段と変わらずグレーデは無表情、教主は穏やかな笑みで、どちらの表情にも動揺は見られない。


「ウィラントが、崩れましたか。確かなことですか」

「ええ、現場で混乱があったようで……長やその他数名は逃れたようですが、最早救えぬでしょう。そしてあそこが落ちた以上、周囲に被害が波及していくのも時間の問題です」

「そうですね……ブラスエガに差し向けた軍は一旦戻らせるしかないでしょう。一部は南部の救援に向かわせなければ。その選別及び、人材と兵力の配分はリゼルドに任せます」


 そして彼は、シュデースの当主に目を向けた。


「セルギス。街道の土砂撤去の件ですが、どれほど進んでいますか?」

「既に七割方完了しております。軍の交通も、制限は出るでしょうが不可能ではありません」

「そうですか。では従来通り、街道として役立てましょう」


 半分以下というのであれば、土砂をそのままにして敵を阻むことも考えたが。七割の土砂が撤去できているのなら、それを利用しない手はない。


 ベルガルムがどういった進路を選択するか――ここを攻めるか否か、それによって最適解が変わってくる。街道を活かせるかどうかは、どれだけ相手の手の内を読めるかで決まるのだ。


「…………」


 補給路とするか、進軍路とするか、避難民を逃がすか――ここをどう活用するかで、戦局も変わるだろう。教主は地図を見つめる。


「マーレンには今、ウィリスがいるのでしたね。地理的に、これから更に戦線が押し込まれたなら、あそこを河川防御の拠点とすることになるでしょう。ルファルは準備ができ次第向かって下さい」

「承知致しました」


 教団の都市や家門は元々、何かあればいつでも戦時体制に移行できるようになっている。軍事を担うカドラス家であれば尚の事であった。その当主は恭しく、戦意に満ちた顔つきでそう応えた。



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