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受諾と火種

「ですが、これを断ればどうなるかは明らかです。当主様、ご英断を」

「…………シルバエルからの下知は?猊下は何と仰っている?」

「こうした条件が持ちかけられた以上、受け入れることは前提であると。

細部の調整は当主様にお任せになるとのことです。

ただし、報告は密にと」


 「成る程」と返し、レイグは目を閉じた。

色々と引っ掛かることが多いのは事実だ。

だが……確かに、ここで騎士団と決裂するわけにはいくまい。


 短い逡巡の末、彼は腹を括った。

聖者の存在は教団の、世界の光だ。

いざとなれば身命を賭して守るのみである。


「……分かった。聖者様は我が領にてお迎えする。至急準備に入るように」


 簡潔に指示を下し、下がって良いと手で示すが、まだ報告は終わらないようだった。

強張り、引き攣った顔の側近は更に言葉を続ける。


「更に、猊下よりのお達しですが……ヴェンリル家のリシカ様が、セヴレイルとの……正しくは、ユリア様との正式な席を求めておられるそうです。

猊下も魔の月の煩忙を理由に宥め、教徒として自粛を促してきたものの、最早限界が近いと……」

「…………そうか。まあ、そうだろうな。

遠からず、避けられなかったことだろう」


 かの貴婦人については、彼も理解していないわけではない。

息子とユリアとの縁談に憤激するのも予想の範囲内だ。

自分たちがリゼルドを嫌うのと同様、自分たちも先方に嫌われていることは承知している。

レイグにしてもリゼルドなぞに血縁の令嬢を捧げるなど御免だというのが本心なのだから。

だがそれでも、この縁談は守られなければならない。

教主の心の安寧のため、ひいてはセヴレイル家の未来のためである。


「嫁して久しいと言えど、ワーレン家の方のお怒りを買うわけにはまさかいくまい。

父上に応対して頂こう。くれぐれも相手に付け入る隙など与えぬよう、丁重に持て成すが良い」

「……承知致しました。そのようにお伝え致します」


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