王太子_19
しかも、そもそも、かの侯爵家が庇護していた下位貴族たちが
正しく侯爵家に仕えていたなら、たぶん、かの侯爵家は見捨てはしなかっただろう
その証拠に分家まで放逐されたのにも関わらず
配下として残ったいくつかの家門がある
その代わりに
学園に関わっていなくとも放逐された配下と分家があった
放逐された彼らは
かの侯爵家が庇護の代わりになる上納を求めぬのを良いことに
かの侯爵家から領地に魔力をもらいながら
他の、かの侯爵家とは違う上位貴族と懇意になり
彼らに融通してもらうために
何かしらの上納をしたり、便宜を図ったり、それだけでなく
かの侯爵家の情報などを売ったりしていた
彼らは心の忠誠すら捧げず、かの侯爵家を内心で足蹴にしていた
それでも、国に必要な家ならば、と
大きな造反がなければ、目を瞑ってくれていたかの侯爵家の大きな
いや、大き過ぎる上位者としての器
かの侯爵家が分家や配下の不正や造反を知らなかったわけでないのは
現、いや、もう元になってしまったが、侯爵当主が
父に渡したあの、分厚い冊子から分かる
あの分厚い冊子にはかの侯爵家の歴代の当主や補佐役らが
分家、配下はもちろん、守護騎士として聖物に魔力を込めるために
国中を渡り歩く故にそこで見聞きし情報や
聖物が不要な消耗をされないように各地の状況を把握するため
各地に根のように張り巡らせた協力者から得ただろう情報が書いてあった
大小ある、それらの情報はその後、彼らの手先によって精査され
その上、その記述を記した者が
嘘偽りがないことを誓約したことを認める神官の印まであった
そう、あの分厚い冊子には貴族たちの罪悪が全て記してあった
それはまさしく、貴族たちの閻魔帳
中には記述にあったことで粛清された家もあった
だが、その家の粛清に貢献した家門はかの侯爵家とは何ら関わりがないも多い
それなのに、閻魔帳の記述は粛清が行われる少し前で
貢献した家門の証言をみれば、記述とほぼ変わりないという奇妙さに
かの侯爵家の暗躍が伺える
結局、かの侯爵家にとっての大事は国の安寧で
かの侯爵家の名誉も権威もその前には塵芥とされていたのが
その記述やその後の対処からもわかる
母や母の実家をここまで落とし込めたのも
閻魔帳のおかげだ
母や母の暗躍が事細かに記されたそれは
かの侯爵家が事態の経緯をだけでなく
この国が仕えるに足るかと問うためであったのは間違いない
ここ数十年の記載は特に詳細で
母の一つ目の暴走が影響しているのは確かだ
しかし、結果、かの侯爵家、いや、侯爵当主にとって
掌中の珠と言える令息、令嬢が再起不能になるのは想定外だったに違いない
まさか、物静かでいつも沈着な様子だった令嬢が
あそこまで追い詰められていたなど、誰にも分からなかった
見誤った、そうとしか言いようがないだろう。
あとがき、というより言い訳です
「閻魔帳」という言葉がこの世界に仏教がないのでそぐわないのは重々承知なのですが
いい言葉がどうしても思いつかず、使っています
多大なる違和感が残ると思いますが、お許しいただきたく・・・・・
これ、どう?みたいなアイディア、募集しております(o_ _)o))




