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虚と現  作者: 沙羅双樹
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王太子_15

確実な明日を望めぬことを知っていたから

次代は己に万が一があっても、弟を守り切ってくれる

誠実で、中央に関わりの薄い、

かつ、貴族に侮られない確かな力を持った家を探し続けた


それは病を得た体で、かつ

己に課せられた王を継ぐものとしての試練をこなしたうえで

行うには過酷と言える日々


それでも、どちらも決して手を抜けないことだった


幸い、父が家に関してはある程度の目星をつけていてくれたし

調べる際の手も貸してくれたので

次代としては情報精査と管理に努めればいいだけだった


まあ、それでも、周りの者は

命を削るように、まさしく、生き急ぐ

そんな次代をハラハラと見つめていた



ようやく、数家に絞り、弟との相性を見るため引き合わせる


直系王族との婚約を結べば、公爵位が授けられる

その後、1~10代ほどはそのままで

その間に王族を再度、下賜されれば

同じく1~10代公爵位でいられる

(1~10代と曖昧なのは

爵位を授かってからの時間と貢献度が関わってくる)



ちなみに、今も続いている古き一族で

唯一、侯爵のままなのが守護騎士を務める氷の一族


かの一族のみ、一度も王家の者を下賜されていない


それは下賜に値しないのではなく

初代との誓いのため、と必ず固辞されてきたからだ


もし、そうでなければ

弟の避難先を一番に父が選んだはずだし、次代もそう望んだ


だが、かの一族は決して王家の者を賜ることはない

結果、それが社交界の地位で大きく侮られる原因にもなっている


もちろん、かの一族はそんなことを毛ほども気にしないのであろうが…



兎にも角にも、次代の大切な弟の守護役は決まった


それに伴い、かの家は公爵位を名乗ることを許された

通常は、弟がかの家を継いだ時点で名乗りが許されるモノだが

王家に大きく貢献が認められるとされた場合のみ

現当主から公爵位を名乗ることを許される

(もちろん、破断になった場合は基本、その時点で爵位は戻される)


なぜ、そんなことをしたか、といえば

弟の子を望めない可能性が高いからだ


弟から公爵位を名乗ることを許した場合

弟の子でなければ、公爵位を継ぐことが許されない


だが、貢献によって、前倒しで公爵位を授かった場合のみ

弟の子ではなくとも、公爵位を継ぐことができるからだ



弟のことに関しては、重臣たちにした表向きの理由を

誓約した上でかの家の現当主には話してある


基本、王家の子は出来にくいため一代限りの家も多い


そのため、説明せず

公爵位を現当主から授け、2代とすればいい、という意見もあった


だが、次代は誠実に国に努めてくれているかの家を

騙すような、蔑ろにするような行為はすべきでないと考えた


何より、王家から離れたとて、引きこもっていられる訳ではない

ならば、余計にかの家の中枢の者たちには知っていてもらわねばならない


次代が弟より長い明日を信じられるならともかく

護り手として預けねばならぬのなら、絶対に外せぬと思った。


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