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虚と現  作者: 沙羅双樹
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侯爵令息_1


白銀に舞う血吹雪を見た瞬間、

ずっとぼんやりとしていた思考と視界はクリアになった


ただ美しい光景と捉えていたソレが己が至宝たる妹の危機だと認識すると

令息は絶叫し、必死に妹の体から噴き出す血を止めるため

己が手諸共に、妹の首を凍り付かせた


混乱する感情をよそに

頭は冷静に、妹の体の機能まで止めてしまわないように

首の深い傷だけを塞ぎ、同時に、

周りがかけ出した治療魔法を邪魔しないように繊細に氷結魔法を緩める


神業と言える魔力操作をしながら

令息が思ったのは、なぜこんなことが起きたかではなく

増えてしまった妹の傷へのことだった


どうやったら、傷跡を残さないで済むだろうか、と考える令息は

妹の命が消えることなんて、決して、決して考えたくなかった



**********************************


令息がその存在を知ったのは

魔法の稽古をつけてもらって部屋に戻る際に

横切った中庭で聞いた爆音がきっかけだった


お逃げください、と誘導しようとする護衛騎士たちを振り切って

思わず、爆音のする方へ走った


いつも物分かりがよく、決して周りの手を煩わせない令息が

その時初めて、大人の正しい指示に逆らった


どうして、そうしたか、令息にも分からなかった


でも、そうしなければならない、となぜかその時は思った



そして、爆音を上げ、今にも崩れそうになる塔を見上げた


そこは何代も前に魔力の高い、

罪を犯した一族を封じ込めるために作られた塔だった


そこから転げ落ちるように出てくる使用人たち


爆音を聞きつけ、駆け付けた騎士たちや

令息に着いてきた者たちが必死に彼らを誘導する



お戻りください、と言い続ける乳兄弟を制し、目を閉じる


塔の中に大きな、大きな己の魔力と近い魔力の爆発を感じ

そして、それが徐々に弱っていくのを感じると

令息は己の魔力を解放し、己と近しい魔力を持つ者の元へ

氷の橋を架けると、魔力でその者の元へ滑り上った


周りの声は雑音にしか感じなかった


そして、魔力の渦の中

己と同じ、白銀の髪を舞わせる小さな少女を見つけると

己の魔力で少女を包み込み、ゆっくりとゆっくりと少女の魔力を鎮める


そうして、最後まで閉じ込めると

腕の中に倒れてきた小さな存在(少女)を優しく抱き留める


腕の中で眠る少女を見たとき

令息はようやく、己が満たされた、と感じた。


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