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虚と現  作者: 沙羅双樹
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王太子_8


祖父が早くに亡くなり、20歳で父が即位し

父は必死に王家を立て直した


幸いなことに、父の兄弟は、数人を除いて

同母、異母に関わらず驚くほど確執が少なく

彼らは王家維持に尽力してくれた



そして、今更ながら利いてきたのが

曾祖父の落とし子と呼ばれる、大叔父、大叔母たちの存在だ


彼らは壮絶な家督争いの中、生母の地位が低く

また、スキルやその魔力も王家たる者としては足りないために

端かららち外とされ、また、自身も生母と共に

余計なことに首を突っ込まずひっそりと生き残った人たちだ



だが、王家の者としては魔力が少なくとも

王家の根幹に関わるようなスキルを授からなかったとしても

その血は正しく王家の血を引いている


王家の者として、他家に血を広げるという役目や

王家の者として、今まで王家の者が少なくなってしまったため

外戚としてのさばって多くの古き一族に連なるものたちに占領されていた

国に関わる要職(権威も利益も少ないが、決して無くすことのできない役職)

を取り返すという、地味に見えて重大な役目を彼らは粛々と果たしてくれていた


そのお陰で、父が正しく王権を回そうとした時

彼らはそれぞれの場所で

それぞれに相応しい、微力だが、決して無視はできない力を発揮してくれた


そんな全ての助力があって、20という王家を担うには余りにも若い父だが

長い歴史で少しずつ、そして、曾祖父、祖父と大きく歪んだ王家を

ゆっくりと着実に、歪みを緩やかに直しながら回し始めた



そんな状態の父が母の暴走に気付くことが遅れたのは

また、仕方がないといえる


母の暴走の一つ目、といえるのが

侯爵の、はじめの婚約者のことだった


侯爵(その当時は侯爵令息だが)が15で社交界デビューの時、

16になるはじめの婚約者と連れ立って王家の夜会に現れたのが事の始まり


侯爵家は滅多に社交界に現れないが

古き一族のため、デビューは王家の夜会で、国王自らが祝福するのが決まりだ


そして、そのパートナーとなる婚約者もまた、それに付き添うのが

古くから続く慣例だ



滅多に現れない、というのは語弊があるかもしれない


侯爵家に嫁いだ者はその限りではないが

侯爵家の者は、必要とならなければ

基本、デビューの時と爵位を継ぐとき、譲るときしか社交界に顔を出さない


そして、そんな状態が許される唯一の、力ある古き一族なのだ。

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