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虚と現  作者: 沙羅双樹
63/76

王太子_3


その時、ようやく

窓からまだ、()()()()()が一人必死に走ってきた


キッと睨みつける次代にオロオロとしている様は

まるで、王城の、しかも、王家に使える使用人に相応しく見えなくて

余計に次代の怒りを滾らせた



年若い侍従は、一応、目の前に現れた子どもが次代だと気づいた様子で

這い蹲うように、平伏し、許しを請う


そして、

どうして離れた、護衛はどこだ、乳母は何をしていると

矢継ぎ早に問い詰める次代に、ただ、お許しを、と繰り返す



話にならん、と弟を連れて、己の宮に戻ろうとしたとき

父の侍従長が唐突に現れた


そして、父が呼んでいる、と次代を促す


弟をこのままにできない、と次代は首を振る



()()()()弟様は安全が保障されます」


父の侍従長がそう静かに言うと

次代はようやく、ただ事ではないのだ、と思い知った


それでも、ジッと父の侍従長を見つめ、弟を抱きしめたまま、見定める

「嘘は許さない、この子は私の弟だ。そうだな?」


父の侍従長が認めるまで、決して、弟を離す気はなかった


今、離してしまったら、きっと、また次代には弟が隠されてしまう


そう、判っていた。


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