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虚と現  作者: 沙羅双樹
61/76

王太子_1


「国は最後の真なる忠臣たる家を失った……


だが、かの家は初代様に誓いを起てたその瞬間から今日まではもちろん

誓いを返すこの瞬間でさえ、忠臣であった……」



そう、どこか遠くを見つめながら、寂しそうに呟いた(国王)

愛しいものを慈しむように膝に置いた分厚い冊子を撫で続けていた



**********************************



その知らせを受けた時、

次代は、あぁ、と思わず、声を漏らした


それは、ついにやってしまった、という傍観や

止めてやれなかった、という己への失望など

ありとあらゆる後悔と懺悔のすべてが籠った次代の感情の発露


それでも、己の手を額に当て、項垂れることだけはどうにか耐えたのは

己の側近たちが不安を隠せない顔でこちらを見ていたからだろう



次代が(王妃)が信に値しないという事実に気づいたのは

次代がまだ生死の境を彷徨い、明日を信じていない頃だった



その日、次代は突然、ヤケになって

母の干渉も、傍仕えたちの監視もその膨大な魔力で押し切って

己の宮を飛び出した


馬鹿なことをしている、と頭の片隅で思いながら

中庭を彷徨い、ついに、魔力で強制的に上げていた身体が動かせなくなる


それでも、己を呼ぶ声に応じる気にならなかった次代は

大きな壁のような植木の合間にある隙間に身を隠した


そして、そこで知ったのだ


己には、護るべき弟という存在がいたことを……




誤字を修正しました

誤「その瞬間からから今日までは」

正「その瞬間から今日までは」

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