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虚と現  作者: 沙羅双樹
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侯爵当主_12


でも、それで、いいのだ


販路の権利を得たのなら、その販路は徹底的に絞る


そこに不利益があろうが、摩擦がおきようが

そんなことはどうでもいい



珍しい果実など、貴族や富豪(愚か者ドモ)が高い対価を払い

見せびらかすのに有難がるだけで、市井に何の影響もない


そんな物は不要だ


その対価に有用な魔道具などの生活雑貨を与えるなど

売国奴ともいえる行為だと侯爵当主はそもそも考えていた



だから、徹底的に

その販路を締め上げ、獣王国を干からびさせる


もし、万が一、それでこの国に攻め入るようなことがあれば

獣王国の野蛮人どもが永劫、この国に入れぬよう境界の山毎

氷で封じてやる


いや、その前に

あの、憎き、(最愛を奪った)獣をぶちのめし、その皮を生きたまま剥いで

顔だけ残して氷像にしてから、端からジリジリと砕いてやろう


そうして、恐怖と絶望を存分に与えてから

最後にその頭を足で()()()()潰してやろう


二度と、アノ獣が決して、決して蘇ることがないように………



王妃の実家が片付いた(後ろ盾をツブした)後、侯爵当主がしたのは

王妃にもう二度と侯爵家に口出ししないことを

誓約魔法の元、誓わせた


もちろん、口約束など信じられない


だから、破れば、命を奪う最上級の誓約を付けた


無礼だ、と王妃が騒ぐので

では、国王陛下に判断を仰ぎましょう、と脅せば

抗いようがなく、黙って署名した



最近、性懲りもなく

長男の婚約者を進めようとしてきたので

先手を打てて、本当に良かった


その際、あろうことか

婚約者を幼少期に作り、魔力を合わせるのは

貴族として当たり前だ、とかあの女(王妃)はぬかしたのだ


だから、国王の前だったが、言ってやったのだ


折角、幼少期から魔力や心を合わせたとしても

いつ横から奪われるか分からないなら、意味がないので

長男の自主性に任せます、と


流石に黙ったけれど、あの女(王妃)は信用できない



全てを公にして、あの女(王妃)を徹底的に辱め

その権力を取り上げ、嘲笑されるのを見たい気持ちももちろん、ある


だか、それよりも我が子たちの未来を

己のように穢されることを許す訳にはいかない


だから、侯爵当主は親として、この方法を選んだ



最期の時、感じただろう最上の婚約者の絶望や苦痛を思えば

口惜しさ、いや、それ以上に申し訳なさを感じる


もし、カノジョ(最上の婚約者)に天上で再開した時

この選択をしたことを失望され、裏切りだと責められたら

土下座でも何でもして、魂が消えるまで謝り尽くそう


嫌いだと逃げられても、その足に縋りついて

もう二度と何があっても、きっと離れない


カノジョ(最上の婚約者)は優しいから

魂と引き換えなら、きっと、赦してくれる


あの頃と同じように

困った人ね、と少し垂れたその目を更に緩く下げて……


大丈夫、そう遠くない内に、逢いに行ける



最後に、王妃の実家に切り捨てられた

恥知らずな妻の実家も徹底的に締め上げた


もちろん、

払った賠償金も借金の補填も支援金も全て返金させ

その上で、契約破棄の違約金も求めた


今更、必死に詫びをし

譲歩を求めるド阿保どもには呆れるしかない



そんな中、心労が祟ったらしく

恥知らずな妻の実母が亡くなった


最期に孫との別れを望んでいた、と哀願するので

長男と長女を仕方なく、葬儀に差し向ける



長男は長女を連れていくことを強く拒んだ


それを心情としては許してやりたかった


だが、今際の願いを無視するのは

それが例え、幼子だとしても

成人後の嘲笑の元となり、長男たちの足を引っ張るだろう


だから、行くように命じるしかなかった


納棺だけ立ち会う、と渋々譲歩した長男の願いに頷き

何だかんだと文句を言ってくる恥知らずな妻とその実家を捌いて

長男たちを送り出した。

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