表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虚と現  作者: 沙羅双樹
5/73

侯爵令嬢_5


ある日、少女は兄に叱られた


曰く、男爵令嬢に酷い事をしてはいけない、と


していない、と思った


でも、言えなかった


兄の言葉に反論したことがこれまで一度もなかったから

そして、

男爵令嬢に酷い事をしている人たちがいるのは知っていた


その中に異母姉もおり

異母姉が男爵令嬢をわざと泥で汚れた場所に突き飛ばしたのも

少女は見ていた



止めるべきことなんだとは思った


でも、割って入ることはしなかった


そもそも、異母姉とは血が繋がっているものの

東の棟で兄と二人暮らす少女にとって

生物上の父と西の棟で暮らす彼女と彼女の母親とは

一切の交流はない


だから、少女にとってみれば他人も同然だし

学園に通い出しても、兄以外の人と交流を持たない少女は

誰が誰に対して何をしても認識の範囲外でもあった


男爵令嬢を認識していたのは、兄にとって大切な人だから

異母姉を認識していたのは、兄に何かと擦り寄る姿を見ていたから


それだけだ



そんな少女にとって

男爵令嬢を誰かの悪意から救い出すなんてことは

とても、とても難しいことだった


それに、少しだけ、男爵令嬢が困る姿にスッとした

それがいけない感情だと思って、ちゃんと飲み込んだ


それでも

兄を()()奪い取っていこうとする男爵令嬢に感じる敵意を消し去るのは

あらゆる感情に薄い少女にとっても難しい事だった


でも、兄が望むならば、少女は努力しようと思った



だが、それはきっと、間違いだった


出来ないことは出来ないというべきだった


いつからか、男爵令嬢に向けられる悪意ある行動は

少女のせいとなり、男爵令嬢はそれを否定しなかった


次第に、兄は少女に会うと、キツクきつく叱るようになった


そして、兄の目に嫌悪が浮かぶようになると

少女の心は徐々に死んでいった。


補足

学園にはスキル認定が終わった10歳から入学可能となっています

ですが、大体は成人となった13歳から通うことになっています


通常、通わない10歳で妹が入学したのはもちろん

学園にいけば、少しでも長く兄と過ごせると考えたからです


兄は15で学園3年目

妹は10で学年1年目、という設定にしてあります

ちなみに、

異母姉は13で妹と同じ、学年1年目です


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ