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虚と現  作者: 沙羅双樹
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第二王子_12


未亡人やご夫人方との不適切な関係や

令嬢たちとの逢瀬など、

子爵次男の婚約者はその度に悋気を起こし

相手の令嬢たちに突っかかり、子爵次男を責め立てた


でも、子爵次男は薄く笑っているばかりだし

相手となる令嬢は子爵次男の婚約者より家力が強い


そのため、クスクス笑うばかりで

子爵次男の婚約者を相手にしない



それでも、

子爵次男を子爵次男の婚約者は諦められないのだろう


みっともなく喚き散らす様を失笑され

立場を無くしていくが、婚約を解消する様子はなかった



公爵令嬢は子爵次男の婚約者を可哀そうといい

子爵次男を何とか諫められないのか、と彼に言うため

彼は子爵次男と何度か話した


でも、他の方法はないのか、と尋ねる彼に

どうでもいいのです、と光を無くした目で答えた子爵次男に

多分、醜聞も、それによって起こる騒動もどうでもいいのだと気づいて

もうなにも言えなかった



見守るしかない、と公爵令嬢に言うと

不満そうだったが、頷いた


それ以上関わるほど、公爵令嬢にとって

子爵次男も子爵次男の婚約者も近しい相手ではなかったからだろう


そして、醜聞は起こすが

特定の相手を作るわけじゃない子爵次男に

婚約を潰す気がないことも分かっていて

責任を放棄しない限り、

王族である彼が一貴族の身の振り方に口を出すのが難しいと

説明したのもあるだろう



そんな子爵次男が特定の相手ができた


それが男爵令嬢で、

他の全ての遊び相手と手を切ってのめり込んでいると

聞いた時、やはりか、という感想だった



そもそも、子爵次男はまっすぐな人物で

女性との関係を遊びで楽しむような性質じゃない


自暴自棄になっていたから

来る者、去る者拒まずで放置した結果の醜聞だと

彼も学友たちも知っていた


そして、聖騎士になりたかった子爵次男にとって

聖人になりうる光魔法保持者に興味を持たないわけがない



男爵令嬢と交流するに従って

きっと、本来のまっすぐな子爵次男の性質が蘇ったのだろう


放置した者たちを片付け

心を捧げる者を見つけた子爵次男は学友だった頃と同じ

カラリとした笑顔を男爵令嬢に見せていた



それをただ、喜んでいる立場でいられれば

彼は真に子爵次男を友と呼べたのかもしれない


でも、彼は王族で、彼は己の役目を放棄できない。


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