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虚と現  作者: 沙羅双樹
30/75

第二王子_5


可愛いとは思うが

特別か、と聞かれれば、分からない


でも、

ちゃんと婚約者として大事にできるし、仲良くできる


彼にとってそんな相手だった公爵令嬢が

特別になったのは

公爵令嬢が持ってきた野草がきっかけだった



その日、いつものように

交流のため、城に来た公爵令嬢は

大きな荷物を下男に運ばせ、現れた


領地から戻った公爵令嬢が

何か面白いモノを持ってきてくれるのはこれまでもあって

今度は何を持ってきたのだろうとワクワクした



いつもより、よほど大きな荷物だが

城に入るときに危険がないことは調べ済みなはずだから

第二王子は躊躇なく荷物に近づいた


そして、

開けられた木箱の中身を見て、あっけにとられた


なんせ、草が入ってた



ポカンッとする彼に公爵令嬢はクスクス笑う


公爵令嬢曰く

これは領地で咲く珍しい野草たちなのだと


そして、野草を一つ一つ指差しながら

薬名人のおばばがこれは草かぶれに効くと言っていた

あれは歯痛に効くと言っていた、と教えてくれる



薬名人のおばばの話は

いつも面白いので、へぇと聞いた


でも、へぇとただ聞いていた彼とは違い

彼の傍で控えていた使用人達が表向きは通常通り、

でも、いつも傍にいる彼には感じ取れる程度に

慌ただしく動き出した


その動きには気づいていたけど

今は公爵令嬢との時間だから、と思って

公爵令嬢との話を楽しんだ



公爵令嬢が帰った後、傍仕えから

公爵令嬢から貰った野草を使ってもいいか、と聞かれ

ちょっと考えた


第一王子には

婚約者に貰った物は大切にしなさい、と言われていたからだ


だから、傍仕えに聞いた


婚約者に貰った物だが、大切にしないでいいのか、と


ちょっと目を丸くした傍仕えはその後、微笑んで

大切に使わせてもらいますから大丈夫です、と言った


なら、いいか、と彼は頷いた



彼にとってそれだけの事だった


でも、それが彼にとって

何よりの喜びと吉報を届けることになった


公爵令嬢が持ってきた幾つもある野草の中から一つだけ

第一王子の病状を劇的によくする野草があったのだ。



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