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虚と現  作者: 沙羅双樹
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侯爵令嬢_3


そんな少女を乱暴に家庭教師は引き摺り

家庭教師が部屋に現れるようになってから置かれたモノ(ソファセット)

少女を投げつけた


ソファの角に体をぶつけられ

痛みに少女は体を丸くする



家庭教師が現れて以来

与えられるようになった痛みをその体位が緩和すると

少女はもう覚えていた


そうして丸くなっていると

家庭教師は去り、元家令が現れ

ベットに戻れる


そう、少女は覚えていた


だが、その日からはそれさえ許されなかった



家庭教師は蹲る少女に何か別の音を投げかける


それが今まで投げられた音とは別の音だということは分かる

でも、それが意味する事は分からない


ただ、家庭教師が去らないで

何かを要求していることは分かった


ベットではないので、降りることはできない

家庭教師と同じような姿勢になった(立った)ことがないので、同じこともできない


そして、少女は言葉が分からないので

何をすればいいか尋ねるという行為も思い付きさえしない


だから、少女は出来ること、

ただ静かにそれらが通り過ぎるのを待つことを選んだ


少女は今までずっと、そうしてここにただ、在ったのだ



そんな少女の事情などお構いなしに

家庭教師は反応しない少女に何か棒のような物(教鞭)を振り上げ

何度も何度も丸くなる少女の背に躊躇いなく振り下ろした


辺りに血の匂いが立ち込めてくると

流石に見逃せなかったのか、元家令が割って入り

家庭教師は部屋を出ていく



元家令は少女をソッと抱き上げたが

新たな鋭い痛みに混乱している少女は余計に怯え

元家令の腕の中で丸くなった


元家令はそんな少女をベットに戻し

何かの瓶(ポーション)を少女の口に当てがった


だが、背中から体中に響く鋭い痛みに完全に怯えていた少女は

果実以外の何かを口にした時の苦痛を思い出し

更に恐怖に陥り、必死にポーションを遠ざけ

ベットで丸くなる


そんな少女に元家令は何かの音を発し

ポーションをベット脇にある物(サイドテーブル)に置いて出て行った



少女はようやく訪れたいつもの(独りの)空間にホッと緊張を解き

シーツに潜り、丸くなったまま、目を閉じる


いつもそうやって

痛みや時に、体の中から溢れそうになる何か(感情)を沈めて

少女はここに在り続けた


少女はかつての、真っ白で無音の世界が戻ることを願った


だが、少女のそんな些細な願いが叶うことはなかった


それから一年半、少女が命の危機に魔力暴走を起こすまで

そして、少女の最愛であり、唯一の庇護者であった兄と巡り合うまで

毎日、少女はただ独り、そこで痛みと恐怖に耐え続けた。


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