表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虚と現  作者: 沙羅双樹
29/75

第二王子_4


公爵令嬢と会った数か月後

学友の一人である伯爵令息が

半年前に生まれた妹が少し体が弱く、

空気のいい別荘に母と一緒に行ったのだが

湧き水が濁っていて使えず、仕方がないので

水の魔道具を急ぎ調達し、補充させたのだ、と話した


いつもなら、それは伯爵令息にとっても

聞いている彼や学友たちにとっても

学業の合間の休憩時間にする他愛もない世間話の一つだった



でも、その時、彼はドキリとして

慌てて、伯爵令息に母子を別荘から離れるように言った


公爵令嬢の話を鵜呑みにしている訳じゃないが

何となく嫌な予感がしたのだ


そして、彼が嫌な予感がした時は

大体、良くない事が起きる



だから、伯爵令息を急ぎ、家へ帰し

王家の飛竜まで使う許可を出して、別荘からの退避をさせた


半信半疑な様子の伯爵令息やその周りだったが

この時の彼の判断に彼らは後々まで感謝することになる



飛竜で母子が脱出し

元々別荘を管理するためにいた管理人も含め

全員が退避した後、10日もしない内に

別荘を飲み込むようにして山の一部が崩れたのだ


もし、あの時、退避してなかったら

母子処か、別荘で彼女らに仕えていた数十人の使用人もすべて

山に飲まれ、助けを呼ぶことも出来ず

週に一度の定期連絡がないことに気づいた誰かが

様子に見にくるまで気づかれもしなかっただろう


伯爵家はこれ以降、今まで以上に王家への忠誠を誓い

伯爵令息は彼への忠義を生涯、誓った



そんなことがその後も何回かあって

もちろん、

伯爵令息の時のような大きな功績になることは少ないが

でも、公爵令嬢が領民から聞いてくる話はとても為になった


それに、公爵令嬢は話が元で誰かが助かったと聞くと

本当に嬉しそうに笑って、

そんな公爵令嬢が可愛い、と彼は思うようになった


恋愛感情というのは、まだ、彼には分らないが

公爵令嬢となら、

きっと、ずっと仲良くできると確信するようになっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ