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虚と現  作者: 沙羅双樹
28/76

第二王子_3


そんな経緯で

彼はほどよく気合を入れて、公爵令嬢と会ったのだが

結果、肩透かしな気分を味わった


なぜなら、公爵令嬢は彼を見た瞬間

人ってこんな声をあげるんだ?、と彼が首を傾げる

不思議な声を上げて、泡を吹いて倒れたから


実兄である第一王子に公爵令嬢への第一印象を聞かれて

素直に、変な声の動物みたいな子、と答えて

周りに叱られた


叱られて、しょんぼりする彼の頭を撫でながら

第一王子に、女の子を動物に例えてはいけないよ、と言われたので

彼は女の子は動物と違うということをその日覚えた



その後、再び会った公爵令嬢は普通だった


あの後、実は昔から傍にいてくれる傍仕えに

公爵令嬢はちょっと変わった方だという話を聞いてきたと

教えてもらったから

だから、変な声で泡を吹いたのかな、と思っていたが

次会った時は、婚約者候補として会った他の令嬢と同じく

おすまし顔で、キラキラした目でこっちを見ていた



だから、ちょっとだけがっかりした


変わっているなら、ちょっと面白いかと思っていたのに

皆と一緒だったから、でも、別に嫌ではなかった


仲良くしようとしてくれるし

仲良くしようと思えた


だから、何か月か交流した後

婚約を結ぶか、と聞かれて、頷いた


だって、なるべく仲良くしようと思って

それができそうだったから


それに、スキルが判明する10になるまで

婚約は仮婚約で、発表も控えるそうだ


なので、その間にどうしても無理だと思ったら

お互い白紙撤回もできるらしい



公爵令嬢が婚約者になって

交流を重ねていくと、ちょっと変わっていることが分かった


公爵令嬢は領地で領民と遊ぶことが多いみたいで

知らないことを教えてくれる


それは彼にとって楽しいことだったし、為になった



例えば、ある日、公爵令嬢がこんな事を話した

「この前、山のおんじぃが言っていたのだけど、

山の湧き水が濁ったら危ないから、山から離れるんですって


何でも、山が崩れる前に湧き水は濁るんですって」


その時は、へぇと世間話程度に聞いていた



領民と交流している公爵令嬢は

領民たちが持っている昔からの生活の知恵なんかを

聞いてくるのが楽しいらしく

領地に帰った後、会いにくる時は必ず、新しい話を聞かせてくれた


それは、彼にはできないことだし

机についてする勉強は好きではなかったが

知ること自体は好きな彼の好奇心を満たしてくれた



彼は公爵令嬢となら、ちゃんと仲良くできると

その頃には思うようになっていて

公爵令嬢が婚約者になったことに満足していた。


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