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虚と現  作者: 沙羅双樹
26/76

第二王子_1


白銀の天使と呼ばれる少女の命の灯が消えていくのを眺めながら

彼は己の失敗を悟った


ただの失敗ではない


もう二度と取り返しのつかない

そんな、特大の、そして、国を揺るがすだろう失態



『兄上、やはり貴方の言う通りだった


道しるべは標に過ぎず、己の足で歩くべきだった


…………兄上、申し訳ありません』



**********************************



彼が婚約者候補、

候補とは名ばかりの既定路線なのだが

である公爵令嬢に会ったのは彼が6つになる頃だった


公爵令嬢が彼の婚約者に選ばれたのは完全なる政略で

公爵令嬢の家が公爵家の中で一番力がなく

何より、野心が全くない家だからだ



公爵令嬢の家はまだ10代続いていない若い家で

建国から千万年を優に超えるこの国では新興と言える


公爵家の祖となったのは

伯爵家の次男として生まれた男で

優れた錬金の才能を持っていた


彼が今ある汚水処理の元となる錬金道具を開発したことで

その功績を認められ、侯爵家を興したのが始まりだ


祖となる侯爵家当主の何代か後の者が

今の原型とも言える御不浄の錬金道具を作り上げ

その功績で愛妾との間にできた、王位継承権は持たない王女を娶り

公爵家となった


優れた錬金術師を生み出す家系として

王家が保護に乗り出したのだ


その後、目立った功績はないものの

脈々と錬金術の血を確実に繋いでいる



ただ、錬金術というのはどうにも、魔道具と違い、

魔力を持たない庶民のモノという認識が貴族の中であり

低く見られがちだ


そのせいで、公爵家となった後も

大した派閥はできず、侮られがちだ


なんなら、爵位的には下位だが、

興家を比べれば、よほど長い中堅に当たる家からは

明らかに下に見られている


だが、代々の公爵家の者たちは

そんな周りの態度を気に留める様子もなく

淡々と、己の務めを果たすように

錬金術の研究、また、錬金術師の育成や保護を黙々と務めてきた


そんな姿勢が高く評価されて

また、これ以上、新興とは言え、公爵家が侮られ続けないように

第二王子である彼の婚約者に、今回選ばれたのだ。


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