公爵令嬢_7
まずは、主人公に絶対に第二王子が攻略されないように
第一王子の薬の元となる野草を見つけることだ
でも、大丈夫
課金アイテムとなるクッキーに混ぜる薬草もそうだが
野草もかなり特徴的で
星形の葉と薄紅のポンポン菊のような花だと知っている
ちなみに、課金アイテムのほうは
菫に似た植物で、葉の周りがうっすら白い産毛に覆われ
満月の月光を浴びると発光する
探す、いや、探させるのは容易い
それを違和感を与えず
誘導する方法だけをしっかりと考えればいい
思惑通り、野草を発見させ、第一王子は回復した
しかも、まだ、病状が進んでなかったお陰か
抽出したエキスだけで魔力を大幅に引き上げることができた
魔力視スキルを持っている彼女から見ると、
おおよそ、第一王子の器半分より多いくらいに感じる
魔力の保持量が増えた事は
第一王子の治療の大きな助けとなった
現実、病弱と王位を問題視されていた視線も少なくなり
第一王子の立太子はもちろん、婚約者の選定も始まった
もちろん、彼女は選定外だ
望むなら、第二王子の婚約者候補から降りてもいい、と
親にも、なんなら、第二王子本人にも言われたが
泣き喚いて、拒否した
そんな彼女に第二王子は感激した様子で
ゲームでも見たことがないほどの溺愛を向けてもらい
王家公認の仲となった
幸せだった
学園が始まる時は流石に緊張したが
常に第二王子が傍にいてくれた
それに、彼女の意図を汲んで
上級クラスまで上がってきた主人公に接触するのも
手助けしてくれた
そんな所も大好きだ
主人公と侯爵令息を接触させてみたが
案の定、主人公だけが憧れの視線を向け
侯爵令息は視線を向けることさえしなかった
(シスコンがっっ!!!)
まあ、想定通りと気持ちを改め
善意の助言を装って、侯爵令息が薬学の研究生だと教え
主人公に薬学を専攻させる
薬師の祖母に育てられただけあり
主人公は順調に研究室に潜り込み、繋がりができたようだが
やっぱりそこからが進まない様子だった
だから、恋のおまじないと称して
課金アイテムのことをこっそりと主人公に教えた
あくまで、こんなおまじないがあると
領民たちとの会話で聞いたと教えるだけで
何かしらで巻き込まれるのは困るから、決して手を貸さない
伝えたのは
○○山に咲く月に光る薬草に願いを込めると
願いが届けば、光る雫に代わり、それをクッキーに混ぜ込んで焼く
もし、そのクッキーを食べてもらえば
貴方の気持ちが少しだけ伝わると
そんな、地方でよく聞くおまじないの世間話を
彼女はしただけ。




