公爵令嬢_3
メインヒーローである第二王子を攻略するのは難関だ
総合で20位以内に入ると、
第二王子や高位貴族の攻略対象がいる特級クラスに編入できる
上げるべきパラメータは攻略対象それぞれ違うのだが
第二王子の場合、全てのパラメータを20位以内まで上げないと
意識すら向けてもらえない
その上、薬学と治療魔法学のパラメータは
どちらかは10位以内で、どちらかは3位以内じゃないと
会話ができない
そこまで言って、ようやく
会話できるようになるのは第一王子の持病のため
今世では魔懐症と呼ばれ
前世でいえば、所謂、自己免疫疾患だ
己の魔力が一定以上溜まると
なぜか己の体を攻撃してしまうという奇病
病気のせいで
第一王子は常に魔力切れになる寸前の状態で生活している
体に魔力が満ちていないと
免疫が効かないのか、あらゆる病にかかりやすく
また、魔力による自己治癒が働かず、治りにくい
魔力の問題故に、治療魔法もポーションもあまり使えないから
今は学術としてしか残っていない薬学に王家は望みをかけ
密に呼び寄せた薬師に第一王子の症状緩和になる薬を作らせ
治療薬の研究を秘密裏にさせている、という設定だった
第二王子はその薬師の補佐になり得る存在を探しており
薬学と治療学に優秀な主人公に目をかけることで
攻略は始まることになる
薬学を専攻する過程で見つけた野草が切欠で薬師と知り合い
薬師と協力して、その野草から製薬スキルで抽出したエキスが
第一王子の状態を大幅に改善させる
魔力を底辺まで絞らなければ出ていた症状が
3分の1ほど魔力を溜めることができるようになったのだ
3分の1でも魔力があれば
治療魔法を十分に受け付ける事ができる
この効果は大きい
王家にいる薬師に信頼され、野草を一緒に研究し
半分ほどまで魔力を回復できるようになると
第一王子の暗殺未遂事件が起きる
ここで薬師と協力し
薬と治療魔法で第一王子の命を繋ぐと
第二王子の好感度は上がり切り、婚約を認めてもらえる
ハッピーエンドだ
でも、ここで治療魔法の禁忌とも言える
己の体力を代替えに第一王子を癒すと
聖女として皆に認められるが、第二王子の攻略は失敗する
そして、神殿で聖女として勤めることになる
グットエンドとは名ばかりのバッドエンド
ちなみに、それが禁忌なのは無為だからだ
禁忌になる前、
奉仕精神に溢れた術者がそれを行うことは極稀にあった
でも、成功したのはほんのわずか
大抵の場合、術者の命を術の対価としてしまうため、
治療魔法の上位版である聖魔法の使い手以外が行えば、
術者は術の途中で命が燃え尽き、また
術者の死で癒しが途切れ、対象者も助からない結果に終わった
成功例でも、対象者は助かっても術者が助かった例はない
そのため、治療魔法が使える者にとって
己の体力を代償にするのは、禁忌と定められている
でも、治療薬で命を救った後
秘密にされているが、
先の事件の後遺症で下半身不随になってしまった第一王子を
内密に(これが重要)第二王子と二人で第一王子の所へ行き
聖女の術で第一王子を救うとトゥルーエンド
主人公は聖女でありながら、聖女であることを王家の秘密とし
愛する人と共に、第一王子を支えながら
王弟妃として生きていくことができるのだ
このエンドに辿り着いた時
前世の彼女は感涙が止まらなかった。




