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虚と現  作者: 沙羅双樹
12/75

侯爵令息_6

浮かれ気分で二夜連続(笑)


令息と過ごして一年ほどで

実妹は令息以外が部屋にいることを許容できるようになった


特に、令息の乳兄弟は魔力がまあまあ近しいこともあり

触れることは無理でも傍にいても平気になった


まだ、種類は限られるものの

果実以外の食事もきちんととれるようになり

令息は安心していた


そんな時、暴力が再び、令息の愛する実妹に襲い掛かった



きっかけは

実母の母、令息の母方の祖母が亡くなったことだった


はっきり言って、実母の実家とは没交渉で

実母が家を去って以来、一度も会ったことはない


特に、実妹の状況を知った後では

実母への嫌悪もあり、定期的に出していた手紙も一切やめた


実母も再婚し、子どもを設けたことで

こちらの事が更にどうでもよくなったのだろう


実母からの手紙も途絶えていた



母方の祖母が亡くなったと聞いても

何も感じなかった


可愛がってもらった記憶はうっすらあるものの

それはもう過去だ


だから、関係ないことだと思ったのだが

何を思ったのか、葬儀に出ることを

実母の家からも無能()からも強要された



渋々、本当に渋々

さッさと行ってさっさと帰ってこようと思っていた令息に

ソレら(実母と父)が更に面倒なことを言い出す


実の祖母なのだから、実妹も葬儀に出るべきだ、とソレらは言うのだ


なにが実の祖母だ


実妹はまだ、6つで

ようやく、ベットから起き上がれる時間が増え

ソファで数時間なら自力で座れるくらいの体力が戻ったところだ


未だに誰かに支えて貰わなければ立っていることも儘ならない


そんな実妹に

生まれてこの方、一度も会ったことのない相手の葬儀に立ち会えと

ソレらは言う



令息の周りにいる使用人たちの魔力にようやく怯えなくなった実妹に

不特定多数がいる閉鎖空間にいくなんて絶対に無理だ


そう、令息は強くソレらに抗議した


でも、家名を貶める存在なら

領地に幽閉するしかない、と無能()がほざくので

実妹を連れていくしかなくなった


この時、家の権限を奪うために

無能()始末(暗殺)について真剣に思考を巡らし始めた令息を

乳兄弟が必死に止めた



仕方なく、本当に仕方なく

令息は実妹を連れて、納棺に立ち会った


葬儀は無理だ


教会という閉鎖空間で

密着した椅子に座って、長時間過ごすなんて

今の実妹にできるわけがない



だから、

実妹の病弱を理由に納棺だけに立ち会うことにした


令息が一人で花を棺にさっさと収め、さっさと帰る


それで済むはずだった


でも、済まなかった


令息が手を離した僅かな時に

なぜか、令息の至宝はまた傷を負った。

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