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虚と現  作者: 沙羅双樹
11/75

侯爵令息_5

23/10/17 初評価いただきました!(^^)!

ありがとうございます、とても嬉しいです


え?え?って二度見するのって

本当にするもんですね(笑)


これから、複数視点で

じわりと一人の少女が生を諦めることになった経緯

そして、一人の少女が命を軽んじるに至った要因を

明らかにしていくつもりです


これからもよろしくお願いします


何も知らない実妹に

一つずついろんなことを教え、育てる


周りに人が居らず

アンジュの実の魔力で育ってしまった実妹は

魔力が純粋過ぎた


他の魔力に対する耐性がなく、

他の魔力に触れると、酷い不快感に襲われるようだ



医者がいうには

赤子にとって初め己以外の魔力というのは

とても抵抗を感じるモノらしい


この抵抗感は魔力が多ければ、多いほど大きく感じ

魔力が多い貴族の子どもは

赤子の間に馴染ませる事がとても大事なのだという



だから、通常

赤子はまず、一番抵抗の少ない母から

乳を貰うことで魔力を取り入れ、己と違う魔力を知る


そして、それを嫌がらなくなれば

抵抗の少ない乳母を探し、乳母の魔力に徐々に馴染んで

他の魔力を受け取ることを覚える


最後に

離乳食など植物に含まれる様々な魔力を知っていくのだという


もちろん、その間に人と触れ合うことも大事で

他者の魔力に日常生活で触れることで

己の魔力と他の魔力をきちんと区別した上で

許容できるようになっていくものらしい



これら全てを放棄された実妹は

恐ろしく純粋な魔力の塊となってしまった


実妹にとって、他の魔力は全て不快で

唯一受け入れられるのが

奇跡的にとても近しい魔力を持つ実兄の令息だけだった


令息はいけないと思いながらも

そのことに昏い悦びを覚えてしまう



だが、もちろんそれは問題だった


なぜなら、令息以外の魔力を受け付けないせいで

酷い傷ばかりなのに、碌に医者からの治療を受ける事ができず

令息の拙い技術で作られたポーションだけが、実妹の命を繋いだ


だから、令息は

それまでほとんど手を付けてなかった製薬スキルを必死に鍛え

勉学などを最低限に絞り、寝食を削って

実妹の治療に当たった



そんな令息の努力は報われ

実妹は目を覚ましてからも

令息だけには初めから怯えず、受け入れた


令息以外だと視界に入るだけで、魔力が乱れた程

実妹の他者への恐怖と魔力抵抗が激しかった


それでも、令息が与える物だけは素直に口にし

令息が差し出す手だけを手を伸ばして掴む


そんな実妹の全てに令息は癒され、満たされた


実妹同様、孤独だった令息もまた

ようやく己の居場所を見つけ、日々を楽しむということを覚えた。


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