相棒
きつい!
やる気が出無い!
でも続きを書きたい!
「____では,バディは相棒と捉えて良いのだな?」
私の見つめる視線の先には,例の少女がいる。
「それは…貴方次第よ」
少女は挑戦的な目つきで此方を睨む。
恰も火花が飛び散っているかのような状況に,周囲の生徒は若干引き気味に,かつ生暖かい視線を向ける。
事の発端は,数時間前に起きた。
♦︎♦︎♦︎
「これからバディを決める」
「!?」
担任教師の唐突な宣言にクラスメイトは響めくが,聴心力で事前に知っていたので,態々驚く事は無い。
「前提として,先ずお前達は騎士か魔道士になる」
頷く者や,当たり前の事過ぎて呆れてしまってている者すらいる。
「だが,何方になるにしろ体力,知力,そして特異技巧を切磋琢磨してもらう為にバディを組んでもらう」
特異技巧とは,簡単に言うと“特定の個人しか持ち得ない物理法則を逸している力”の事だ。
しかし,特異技巧が強い者は最も強いかというと,実はそうでは無い。
常軌を逸した力と言えど,それを扱う本人の技量によるものが大きい。
因みに,私の特異技巧は,面接で聴心力を利用して“読心術”となっている。
「それで,バディはどうやって決めるんですか?」
真面目そうな雰囲気の,黒髪黒眼鏡の黒×2少女が質問をする。
「これだ」
教師は無造作に,碧く輝いている球体を教卓から取り出した。
「これは…?」
黒×2少女は反射的にそう口にする。
「これはとある魔道具でな…設定した範囲内で最も相性の良い人物を判定してくれる物だ」
ほう…中々面白い物を作るのだな。
言い忘れていたが,魔道具という物は文字通り,魔道士が作った道具という意味だ。少々安直な気もするがな。
「それじゃあ,一号車から順にやれ」
「「「「はーい」」」」
それからというもの,判定に歓喜するものや,嫌がる者のオンパレード。
いつまで経っても静寂の風情の欠片すら無い。
「次,アルストロ」
私の番が来たようだ。
徐に立ち上がり,教卓までの距離を縮める。
スッと手を,硝子のようでありながら,水晶のようでもあるその魔道具に手を翳す。
すると…
≪ソノマリ・グラット=フランチェスカ≫
見間違えだろう。
そうだろうと信じたい。
あれだ。あれ。悪質な瞞着劇だろう。決して宥和する事は出来ないがな。
「それじゃあ,クロスはソノマリとバディだ」
教師 (性別及び年齢不詳)は常に冷静沈着。生徒に無頓着なだけかもしれないが。
「…?」
「どうしたの?クロス君」
隣の席の少女はが不思議そうに声を掛ける。
名前は忘れた。と言うか聞いていなかった。
「何故クラスの面々は驚か無いのかと思ってな」
私と彼女は犬猿の仲なのにだ。
「あー…うん」
「…何故言葉を濁した?」
隣の席の少女は複雑そうな顔で返事をする。
「ご愁傷様」
「おいそれはどういう___」
「クロス。この後時間空いているかしら?」
…呼び捨て。きっと距離感が近いのだろう。
何せ彼女との関わりは全くと言っていい程に無い。
「…無い…と言ったら?」
「うっかり貴方の首を掻っ切ってしまうかもしれないわ」
そうかそうか。これが狂人というものか。それなら仕様がない。
「すまないが,この後用事が有るのでな。折角のデートのお誘いだが辞退させてもらう」
これは私が地球で学んだ事だが,一般的に女性は口説き文句を言われると喜ぶらしい。全くもって私には理解出来無いがな。
「デ,デートって…///」
ソノマリは顔を赤く染め上げ,私の目を見つめる。
が,紅潮した顔はすぐにポーカーフェイスにより,跡形も無く消える。
わざとらしい咳払いをし,いつも通りの口調で会話を続ける。
その後は教師の計らいでバディ同士の会話をする事になった。
…斯くして,今に至るという訳だ。
「それじゃあ,仲良くおしゃべりタイムは終わりだ(自分では格好良いと思っている)」
自分のネーミングセンスは人一倍優れていると自惚れている教師の宣言で,クラスは直様静まり返る
その後は平常通り適当に授業を受け流し,今日と言う日が終わるのを待つのであった。
♦︎♦︎♦︎
「…」
あれから少し考えてみたが,はっきり言ってこの方法は時間がかかる。
いっその事テロかクーデターを起こして一気に探す…という紳士さの欠片もない行動を移そうかと思ったが,やめておこう。私の体がやめろと言っている。
「ではどうしろと…」
呟きは夕闇にそっと,消えていくのであった。
中々に矛盾している前書きでした。
誤字脱字があったら教えてください。