5.*グラテオス視点* 私の大事なお姫様
初のグラテオス視点です。
私はグラテオス・テオ・ギルベルトと言う。
私は昔から周囲に期待され育った。だが周りは私を金づるとしか思ってなかった。私は唯一の親も私を愛することはなかった。私は感情に蓋をし周りを信用しないようにした。感情が無ければ失敗はしない、と。
だがある時王宮を歩いていると見たことがない黒い塔が立っていることに気ずいた。好奇心だろうか?私はその塔に入っていった。その塔の中にいたのは...月光のような銀髪と深紅の瞳を持った自分と同じくらいの見た目をした少女だった。なぜか少女はかなり流行おくれだと言える古くさいドレスを着ていて、でも彼女自身も綺麗だったからそんなこと気にしなかったけど。
「ここはどこだ?このような塔は王宮にはなっかたはずだが...お前は誰だ?黙っていたら侵入者として騎士団に追放するぞ!」
名前を聞こうとしたらこう言ってしまった。これが緊張というやつだろうか?彼女はウンザリとした顔で私を見た。本当はもっと優しく言いたかったが素直になれなっかた。
彼女は薄ピンクの柔らかい唇を開いてこう言った。
「知らないわよ。あなた見た感じ貴族ね?どうやってここに入ったの?人間には見えなかったはずよ?しかも私は連れていくにはこの手錠を外すしかないし、この手錠はズレないから多分無理よ。」
彼女が言った言葉はまるで子供のようなものではなかった。しかも私たちをまるで別の種族だと言わんばかりに『人間』と言い放った。なにからなにまで謎が多い彼女だった。
「普通に入れたぞ。王宮から見えて気になってきてみたんだ。お前は誰だ?どうしてここにいる?なぜ手錠を付けている?」
もう一度名前を聞いてみた。そしたら彼女が驚いたように私を見た。
「私はルミナス・バルディ・クロムエル。2000年前あなたのご先祖様に潰された国の元王女よ。家族は皆殺しにされ私は力が強かったからご先祖様も殺せなくてこの国に連れてこられてこの塔に幽閉されたの。この塔は勇者とか魔王にしか見えなくて、ここで2000年間暮らしていたわ。この手錠は私が塔から出れないようにする魔道具。勇者と魔王しか解けないというふざけた設定付きの。」
クロムエル王国って聞いたことあるぞ。確か2000年前初代国王に潰されたとか...
「え?お前いまルミナス・バルディ・クロムエルと言ったな?それは初代勇者様が倒した国じゃないか?」
私が言うと彼女は当たりよ。と言わんばかりに笑ってる。
「ふふ。そうよ。まあ話し相手が居なくて寂しいからたまに来てくれてもいいのよ。2000年前のことを教えてあげるわ。」
彼女に来てもいいと言われ私は謎だらけの彼女に毎晩2000年前のことを教えてもらった。
私はこの日に誓った。いつか彼女を塔から出してあげたいと。そして彼女を幸せにしてあげたいと。4年後の今もその思いは変わらない。だって彼女は大事な大事な私のお姫様なのだから。
グラテオスは実はルミナスに一目ぼれでここには書いてはいませんが授業中にも彼女のことを考えていたらしいですよ。