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「ふー、これで何とか住めるようになっただろ。」
とりあえず、使うであろうリビングやキッチンなどを掃除し、一息つく。
幸いにも床や壁に壊れている所はなかった。
(一部ギシギシ鳴る場所はあるが今すぐ壊れそうな感じではなかった。)
「ちょっと散歩でも行こうかな。」
やる事もなく、ゲームもあまりやっていなかった俺は手持ち無沙汰になり、出掛ける準備をしだした。
「あ、あそこの駄菓子屋のさんまだやってるんだ。あそこのおばあさんよくオマケくれたなぁ。」
懐かしくなり、店の中に入ってみると、そこにはおばあちゃんではなく、1人の男性が店番をしていた。
「いらっしゃい」
「...あの、おばあさんいましたよね?今も元気なんですか?」
気になって聞いてみると、
「婆ちゃんは死んだよ。老衰だったんだけど、色んな人に見送ってもらって幸せだったと思うよ。」
「そうだったんですか。」
「昔この店に来たことあるのかい?」
「はい。小学生の頃よく来ていました。」
「そっか。婆ちゃんも喜ぶと思うよ。何か買っていくかい?」
「それじゃあ、そのラムネをください。」
「毎度あり。また来てくれ。婆ちゃんが喜ぶと思うからな。」
「おばあさんを出されたら断る訳にはいきませんね。」
「ハッハッハ、そうだろそうだろ。」
買ったラムネを飲みながら6年という時間が短くないという事を思い知る。
「そっか。おばあさん、死んじゃったのか。今度行く時お墓の場所聞いてみようかな。俺の事覚えてるか知らないけど。」
どこに行くか特に決めていなかったが、自然と裏山の方へと向かっていた。
「ここって私有地だったんだ。でも、散歩コースとして解放していると。こんな険しい山誰も散歩なんかしないだろ。」
裏山は標高の高さの割に傾斜がキツい事で有名だった。
俺はゼェハァと息を乱しながら登っていく。
「小学生がよくこんな所登れたな。」
頂上にはとても太い木が生えており、千年樹と名付けて恵と一緒によく遊んだものだ。
(本当に千年なのかは知らない)
その太さは恵と2人で手を回してもまったく届かなかったほどだ。
頂上に着き、千年樹に近づこうとすると、そこに誰かがいる事に気づいた。
なぜか隠れてしまっていた。
「ここに人がいるの初めて見たな。誰なんだろう?」
今から思えば完全に不審者だったんだがこの時の俺はその事にまったく気づいていなかった。
早く気づけ俺