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試射

次はもうちょっと法力を込めて撃ってみよう。彼女のアドバイスの通り上の方を狙って引き金を引く。すると、さっきよりもちょっとだけ大きい発砲音が響く。

「当たったんじゃない?」

的を見ると、上の方が丸く削り取られているように無くなっている。

「いい感じね。ミア、才能あるんじゃない?」

「そ、そうかしら」

さらに数発撃ってみる。段々と後ろの土壁じゃなくて的の中心に近いところに命中し始めてきた。的が割れるのがここから見えると当たっているのがわかって、やっぱり楽しいものだ。

「その調子よ!」

エイリーンの応援を背にしばらく撃っていると段々と法力量の制御になれてきた。大体このくらい力を込めればちょうどいい感じだ。ほとんどまっすぐ飛んでくれるおかげでどこら辺を狙えば当たるかもわかりやすくていい。

「こんなに早く慣れるなんて……本当に才能ありそうね。私が慣れる時間より数倍速いわよ」

「魔法がうまく使えない分こっちの才能はあるのかしらね」

「かもしれないわね」

褒められると悪い気はしないものだ。今度は狙撃銃タイプを試してみようか。一度一般式の銃を机においてエイリーンの方を見る。さっきまで集中してたので聞こえていなかったが隣の方からレイたちが発砲している音も聞こえる。

「今度はこっちを試してみてもいいかしら」

今度は狙撃タイプを触ってみようかな。ラックから1丁持ち上げる。一般タイプよりまた重くなっている。こんなに重くなるなんて驚いた。

「ええ。もちろんいいわよ。ただ、立って撃つのは大変だからこんな感じで机の上において安定させるわよ」

「なるほど」

隣のレーンに入ってさっきよりも遠い的を狙う。スコープを覗くのも初めてだがこのあたりを狙えばいいだろうか。さっきより遠いし多く法力を込めないと。

「……よし」

少し息を止めて引き金を引く。さっきと同じならちょっと発砲音がして反動を受けるはずだった。しかし、現実はそうはならなかった。耳元で信じられないくらい大きい音が鳴って衝撃で尻もちをついてしまった。

「えっ……?」

「大丈夫!?ミア!」

「え、ええ」

「よかった……怪我はしてないみたいね」

さっき撃とうとしていた魔銃は銃とは思えない様な形に変形している。銃身の中ほどが膨らんでいて弾倉のある場所にかけて大きく裂けている。右側が裂けているのであまり怪我をしないで済んだ。

「な……何が起きたの?」

「あちゃー……これは法力込め過ぎね」

「こんなふうになっちゃうのね……」

「姉様!?大丈夫ですか!?」

レイが尻もちをついた私を抱き起こしてくれる。心配そうに私の全身を確認して怪我がないかを見てくれている。

「あ、うん。大丈夫よ。ありがとう、レイ」

「よかった……」

「にしても、魔銃が壊れるくらいの法力って……どうなってるのかしらね」

壊れた魔銃を眺めながらエイリーンはそんなことを言う。顎に手を当てて興味深そうにしている。

「うーん……ちょっと張り切って込めただけなのにこんなことになっちゃうなんて……ごめんねエイリーン。せっかく貸してくれたのに」

友人に貸してもらったものを一発で壊してしまったのはとても申し訳ない。

「あぁそれはいいのよ。むしろ貴女が使っても壊れないような魔銃を作る材料になるもの」

「そう言ってくれると嬉しいわ」

「とは言え、ミアの法力量とか質とかもう一度測ってみた方がよさそうね……このくらい規格外ならオーダーメイドしたほうがよさそう」

「だったらイオナに頼んでみようかしら……」

「イオナ?ああ、あの人ね。いい選択だと思うわ」

またイオナに頼ってしまうのも申し訳ないけれど……後でしっかりイオナにお礼をしないと。

「とりあえず今日はこっちを使って?さっきのでコツは掴んだだろうし」

「いいの?ありがとう」

「ええ。ミアには是非魔銃に慣れてもらって競技に出てもらいたいわ」

「えぇ……?私、制御できなくて壊しちゃったのに?」

「あれ見てみなさいよ」

そう言ってさっきまで立っていた場所の先の的を指さす。その先の的のほとんどが消えてしまった上に後ろの土壁が真っ黒に焦げている。

「た、弾がそう言うものだったんじゃ……」

「まさか。普通の貫通弾よ?こんな真っ黒に焦げる弾なんて用意してないわ」

「えぇ……?私のせい?」

「貫通弾でこんなことができる子は見たことないもの。しっかり制御して練習すれば他の生徒なんて比較にならないくらい強くなれるわ」

「でも選考会までそんな時間ないわよ?」

そうだ。今日は別に魔銃の選考会に出るために触ったというよりは興味が第一で触ってみたという感じなのだ。一朝一夕で上手くいくものでもなかろう。

「そこはほら、今日で慣れちゃえばとりあえずは大丈夫よ」

「そんな無茶な……」

だが、彼女は割と本気の目でできるでしょ?と言っているように思える。


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