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姫様の解説その1

「というかこれ、ほとんど名前見ただけじゃわからないわね……見たこともないし」

通神書に書いてある競技の詳細をさらっと見る感じ、なんとなく想像はできるけれどちょっとわからないものもある。

「あら?見たことないの?」

「ないわよ。そもそも屋敷から出ることも多くなかったし家出した後は見てる暇あんまりなかったしね……」

「なるほどねぇ」

「私は姉様と違って色々連れて行かれたんですけど学院の行事は見たことないですね」

母はレイを色々な場所に連れまわしていたがほとんどはお見合いを兼ねたパーティーだったらしいし、さもありなん。

「エイリーンは見たことあるのよね」

「ええ。母様と見たことがあるわよ」

「私も見たことありますわよ」

「ロベリアも……ノアは?」

「街中で屋台があったので楽しい祭りという記憶しか」

「なるほど……じゃあとりあえずロベリアとエイリーンに軽くどんな感じにしようか聞こうかしら」

生で見たことがある人に聞くのが一番早い気がする。

「いいわよ!全部説明してあげるわ!」

「何でも聞いてくださいな」

二人とも自信満々に質問を投げかけてくるように促す。

「まず、私達でどの競技に出るにしろ同じ競技には二つしか出られないわ。本当は出たい競技はいくつもあるんだけどね」

ちょっと残念そうに肩をすくめてそんなことを言う。本当に人と競うのが好きな子だ。

「これって選考には二つ以上申し込んでいいのかしらね」

「姉様、ここに書いてあります。大丈夫って」

「ありがと、レイ。じゃあとりあえず全部受けてみるのもありなのね」

「ミアも結構やる気ね、楽しみになってきたわ。それで軽く競技の説明するわね」

「ん。お願い」

「そうね……じゃあ魔法三種競技から行こうかしら。この『マキシノア』『スペルビア』『マギアント』の三つね」

魔法競技はあんまり自信がないから聞く限りは縁がなさそう。

「マキシノアって言うのは簡単に言うと魔法の威力を比べる競技って感じかしらね。広い競技場で一対一で的に魔法を撃ち合うのよ。的を壊していくのが目的だから色々考えることもあるし、見た目も派手で面白いわ」

「スペルビアって言うのはそれとは違って魔法の正確さを競うものですわ。遠距離に射撃したり、たくさんの目標の中から一つだけ撃ち抜いたりと……見た目に派手さはありませんが優雅で面白いですわよ」

交互に説明してくれるお嬢様方。二人とも分かりやすく教えてくれて助かる。

「最後にマギアントね。これは三つの中で唯一魔法の撃ち合いよ。指定された魔法だけ使って相手を倒せば勝ち。細かい技が見られてこれはこれで面白いわ」

「魔法なら……レイとか活躍しそうね」

「姉様ったら……もう」

ちょっと恥ずかしそう。持ち上げ過ぎただろうか。

「次はマギガント、ね。これは自分で調整した魔銃を使って撃ち合いと動く的に当てるってやつね。魔銃自体は簡単に調達できるけど調節はなかなか難しいからやるなら私達に相談したほうがいいかも」

「ですわね」

銃……。ちょっと撃ってみたいという気持ちもなくはない。あとで二人に話してちょっと触らせてもらおうかしら。

「似た競技だとスナイピアね。これは弓を使って的を射抜く単純だけど実力が重要な競技ね。魔法の使用はもちろん禁止。貴族の中には弓を使う人がちょっと少ないから毎年同じ人が出てきやすいわね」

「セイラがいれば……喜んで参加しそうね」

「私達の中で唯一弓を使いますものね」

「私は嗜む程度ですから流石に出られませんわね」

「それで……変わり種だとコロウサーかしら。一風変わって水上の競技よ。魔法を使って水上に浮いて、それで決まった場所を通りつつ時間を競うの。最近は水着も流行ってきてて展覧会みたいな感じにもなってるわね」

「水着か……」

「姉様、出ますか?」

「恥ずかしいわよ……」

水着でたくさんの人の前に出るのはちょっと恥ずかしすぎる。妹くらい可愛くて愛嬌があればよかった……。

「恥ずかしくなんてないわよ。何なら私が水着、用意してあげましょうか?」

「流石にいいわ」

「あらそう?」

エイリーンが選ぶ水着は結構派手そうだからちょっと遠慮したい。ちょっと気になりはするけど。

「あと少し変わった競技は……フラガエストかしら」

「また不思議な名前ね」

「これは三人一組で各学院二組ずつ出して戦うんだけどね、大きめの競技場でそれぞれ陣地を守りつつ相手の陣地を制圧するか相手の三人を戦闘不能にしたら勝ちね。見てる分には占術が見やすくて見ごたえがあるわ」

「一学院6人かぁ」

「ミア、組まない?私と一緒に頂点取りに行きましょうよ」

まるでプロポーズのように決め顔で手を差し伸べてくる。

「……楽しくなりそうね」

不純な動機だが彼女と組んで優勝でもすれば少しは名が知れて彼女たち以外にも友達が増えるかもしれない。純粋に面白そうな競技でもあるし……。

「お願いしようかしら、ね」

その手を取った。ぎゅっと握って微笑むエイリーン。

「まだいくつか競技は残っていますわよ。組むのはその後でもよろしくて?」

「それはそうね」


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