案内の続き
「さて、図書館は大体案内したし次いこっか」
ということで図書館を出た後、入学試験の時に行った模擬戦闘施設を見に行った。とても大きい施設だ。私が試験を行った施設は本当に一部だったみたいだ。
「まぁ、ここはあんまり説明することはないなぁ」
「今日も血気盛んな子達がやってるねぇ~」
「妾達はあまり来ないから大まかにしかわからないわねぇ」
「やらないととは思いつつ、あんまり来ないよね~」
「その分外に出てるから大丈夫とは思っているけどね」
次に、隣にある運動施設を見に行った。こっちの世界でも陸上トラックみたいなのがあることに少し驚いた。昔見た陸上部のようにトレーニングウェアのようなものを着て走っている生徒がいる。
「今日も走ってるねぇ」
「妾はあまり走るのは好きじゃないからあんまり来ないわね……」
「そうそう、隣に魔法の修練を行う場所もあるよ~?」
「今日は誰かいるかしらね」
隣にある天井の高い建物はどうやら魔法の練習をする場所らしい。重そうな扉をギギギっと開けると、いきなり爆発音が聞こえた。
「やってるね~」
「び、びっくりしました……」
レイが私の腕にギュっとしがみついている。
「安心していいわよ。いつものことだから」
どうやら魔法の威力をミスしてしまったらしい。けほけほと咳をしながら部屋を出てきた少女がいる。ちょっと服が汚れてしまっていた。
「ああいう感じで失敗しながら覚えていくものだから安心していいわよ」
「と言っても君たちはあんまり失敗しなさそうだけどね」
「魔法の素養がありそうだものねぇ」
そう言ってふんふんと私達の匂いを嗅ぐようなそぶりを見せる。一瞬キラリと目の奥が光った気がした。
魔法修練場を出るとちょうどよくお腹が空いてきた。
「そうだ、時間もちょうどいいしあそこに行きましょうか」
「あそこ?」
「みんな気にいると思うよ~」
そう言って歩き出した先輩たちの背中を追って歩いていくと、花の匂いとお茶の匂いがほんのり漂ってきた。
「いい匂いね」
「ここは、この学院1の庭園付き喫茶店よ」
「広い……」
「すごい……」
ノアが少しふらついてエイリーンに支えてもらっている。あまりこういう所になれていないのだろう。
そしてこの喫茶店何とテラスまである。高いところから庭園を見渡しながらお茶を飲むのも良し、庭園で景色を見ながら飲むのも良しという感じだろうか。
「喫茶店自体は学院内にいくつかあるけどここが一番見晴らしがいいわよ」
「よく来られるんですか?」
「ええ。妾達もここで本を読んでることもあるわ」
「お金があるならスペースを借りちゃうのもありだねぇ」
「借りる?」
「そうそう。一月単位で借りられてね、その間借りた人とその関係者以外の人が入れないスペースがあるんだ」
「借りてもいいかもですわね」
「いくらかによるわね」
「まぁ、今日は空いてるみたいだしお茶でも飲みましょうか」
しばらくお茶を飲みながら景色を楽しんでいると、段々日が落ち始めてきた。
「もうそろそろ最後の場所に行く時間かしらね。ほら、貴女の大好きな場所」
「あぁ~。この時間位ならちょうどよさそうだよねぇ」
「どこかに行くんですか?」
二人の先輩は楽しみそうな顔をしながらどこかに行こうとしているらしい。
「ちょっと気になりますわね」
「おお、好感触だね」
メア先輩がニッコリしながらこちらを覗き込んでくる。
「じゃあ、みんな飲んだみたいだしそろそろ行こうか~!」
そう言って席を立つ先輩。私達も次いで席を立つ。
「あ、あの」
「どうしたの?」
ノアが恐る恐る私に近づいて来た。
「あの……茶器は片づけなくても大丈夫なのですか?あまりこういうところに来たことがないもので……」
ちょっとだけ恥ずかしそうに私に尋ねてくる。
「ああ、大丈夫よ。勝手に片づけてもらえるわ」
「そうですか……」
「恥ずかしがることないわ。私も最初気になったもの。色々なところに行って体験しましょ?」
「そ、そうですね」
ふわっと笑顔が咲いた。このパーティーで色々なところに行ってみたくなった。
「何々、何話してるのよ二人とも!」
「何でもないわよ。皆でいろんなところに行きましょって話をしてただけ」
エイリーンが興味津々そうに話しかけてくる。本当に色々な所に目を配っている子だ。ちょっと彼らから離れたところですぐにこちらに気づいてくれたみたいだ。
「あー、良いわね!金の出し惜しみはしないわ!皆でいろいろなところ行きましょう!」
「まぁ……私も出すわよ」
「あら?そう?」
「この階段上ったら目的地だよ~!」
先輩についてきてたらいつの間にか目的地に到着したらしい。気にしていなかったがどこかの建物の屋上に登ってきたみたいだ。
「さぁさぁみんなご覧あれ~!私のお気に入りの場所へようこそ!」