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学院案内始め

しばらく歩いていくとほんのりといい匂いがしてきた。

「いい匂いしますね、姉様」

「ほんとにそうね」

「この時間帯は混んでないからちょうどいいんだよね。覚えておくといいよ~」

「大人数で食事することはあんまりないけれど、たまにはこういうところで食べるのもアリね」

「人が少ないならありかもしれませんわね」

ぎぎっと食堂の扉を開くとさっきよりも強い匂いが漂ってきた。

「おぉ……!」

「広いわね」

「まず席だけとっちゃおっか」

広さに驚いている私達を傍らに先輩がササッと席を取ってしまう。遅れて席に着く。椅子が思ったよりふかふかで快適だ。

「こんなに大人数で使ったことないかからちょっと壮観だね」

「そんなことより先に取ってきたら?」

「ん。そうねぇ。じゃあ皆行くよ~」

アル先輩が席を取るために残ってくれた。この時間帯は先輩の言う通りまだ並んでる人がいないのでスムーズに注文口まで行くことができた。メニューを眺めると和洋中すべてそろっていて、食べ飽きることはなさそうだ。それにしてもこっちの世界でも色々なものが食べられるとは思わなかった。ほとんど洋食ばっかりだったから、ちょっと飽きが来ていたと言えばそうかもしれない。

「皆決まった?」

いつの間にか注文を済ませている先輩が顔を覗きこんでくる。

「あ、私は決めました」

「私も~」

「……これにしますわ!」

「じゃあそこでお金払って後は受け取るだけだから、あっちで待ってるね」

先輩の言う通りお金を払ってそのまま受け取り口まで進む。町の料理屋より結構値段は安いけれど実際どのくらい美味しいのだろう。

「結構安いでしょ?」

「そうですね……思ったより」

「安いけど料理は本当においしいから安心して大丈夫よ~!」

と、そんなことを話しているうちに料理が提供されてきた。久しぶりに和食っぽいものを食べる気がする。先輩はロールキャベツ的な料理を注文していたみたいだ。

「あら?思ったより早かったわね。もっと悩むかと思ってた」

「この子達割と即決でよかったよ~」

「じゃあ、私も早く取って来るわね」

入れ替わりにアル先輩が注文しにいった。


「それじゃあ食べましょうか。いただきます」

「「いただきます」」

一口食べると、懐かしい味が口の中に広がる。こっちの世界にも出汁という概念があるみたいでちょっと嬉しい。

「どう?美味しい?」

「とっても美味しいです」

「おお、よかったよかった。じゃあまた気軽に誘えそうだねぇ」

「姉様、一口くださいませんか?」

「ん。いいわよ」

いつものようにレイと一口ずつ交換する。

「こっちもおいしいわね」

「姉様の方もおいしいです!」

「二人ともほんとに仲いいのね」

「この二人はいつもこんな感じですわよ」

先輩がふとこぼした言葉にロベリアがツッコミを入れる。ツッコミというより補足に近いかもだが。

「姉妹ですからね!当然です!」

軽く腕を絡めて仲良しをアピールするレイ。本当にかわいい。

「そう言えばあなた達前からの知り合いなのよね」

「そうですね」

「いつから一緒にいたの?」

「私は……護衛を依頼した時でしたわね」

「護衛?」

「ええ。少し別荘に行くときに護衛を雇ったらミア達だった、というわけですわね」

「私は昔からの知り合いね!小さいころにミアとネイと会っているもの!」

ちょっと自慢げにエイリーンが胸を張って言う。

「あの頃からエイリーンは自信満々だったわよね……」

「それでこそ私だもの!その後は国境沿いの任務の時に再開したのだっけ?」

「ええ。そのはずよ」

「まさかあの時の少女がこんなに綺麗に強くなってるなんてねぇ」

しみじみと思い出すように話している。

「ちょっと……!貴女だって立派な皇女になっていたじゃないの!」

「あら、ほんと?嬉しいわね」

「ミアちゃん結構いろんなことやってるのね、護衛とか任務とか」

「あー……まぁ、あの時はちょっと色々あったもので」

あんまりレイと別れる原因となったあの事件の話はしたくない。

「大変だったのね」

ぽんぽんと頭を撫でてくれる先輩。優しい手つきだった。場合によっては涙がにじんでいたかもしれない。


「さて、皆食べ終わったみたいだし片づけて次に行く?」

「図書館ね!」

一気にアル先輩のテンションが上がったように見える。食器は返却口に置くだけでいいようだ。よくある定食屋みたいなシステム。

「結構おいしかったし安かったからお世話になりそうね」

「寮にいたらお昼はここで済ませるのもありそう」

「種類も多くて困らなそうですものね、姉様」

「ね」

「ほら、行くわよみんな!」


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