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五人の出会い。

「よし、大体班分けできたな」

ちょうど五人がそろったところでレーヴェ先生がそう言った。

「じゃあまず軽く自己紹介しろ。強制はしないが大体この五人で活動することが増えるだろうからな」

そしてまた、教室内が騒がしくなる。

「私達も自己紹介済ませちゃいましょうか」

「じゃあ、私から!ヴィスカリア・エイリーンよ!帝国から来たわ」

「次は私が。ヴァーミリオン・ロベリアです」

二人がささっと自己紹介を続ける。

「姉様、先にどうぞ」

「ありがと。私はラスティナ・ミアリーン」

「そして私が妹のレイリーンです!」

私の言葉の後、続けざまに自己紹介を済ませるレイ。心なしか妹という言葉を強調したようにも聞こえた。

「では最後に……。私は、ノア・セレンディアです。平民ですが、皆様よろしくお願いします」

「よろしくね、ノア!」

「よろしくお願いしますわ」

「平民……ってことは特待生?優秀なのね」

この学校には私達のような貴族だけでなく平民も通う校舎もある。だが、試験で好成績を取った一部の生徒は特待生としてこちらで一緒に学ぶことができる制度がある。恐らくそれを利用しているのだろう。

「いえいえ、私は運が良かっただけで……」

「でも実際特待生として来てるんだもの。もっと自信持ちなさいな」

「ですけど……私戦闘面に関しては何一つお役に立てないので」

「心配いりませんわ」

「この子達とっても強いもの」

三人を指さしてそう言う。

「改めて言われると照れるわね」

「貴女だって戦えるでしょうに」

「貴女達には及ばないわよ……」

流石にこの三人と私では実力が違いすぎる。と、思う。

「他の部分で皆様の役に立てるように頑張ります!」

「歓迎会でもしたいわね」

エイリーンがそんなことを突然言い出す。

「歓迎会?」

「そうそう。せっかく私達の班に新しい子が来たんだし、一回くらいやってもいいと思わない?」

「……どう思う?」

「良いんじゃないんですの?身内だけなら変に気を使わなくてもいいですし」

「私もいいと思いますよ、姉様!」

二人とも乗り気のようだ。私はあまりこういう歓迎会に参加したことがないから気後れしていたけど、この子達がやりたいならせっかくだし参加しようか。

「じゃあ、歓迎会やりましょうか」

「場所は……そうねぇ、ミア達の部屋でどうかしら?」

「良いわよ。どうせこれからあそこがたまり場になるんでしょうし場所覚えてもらった方がいいわ」

「大体の班は終わったか~?」

突然、教師の声が聞こえる。教室の騒々しさが一瞬で静まる。

「終わったみたいだな。では、これからその五人で講堂まで移動してもらう。その後のことはそこで話す!」

そう言って手を叩いて皆に動き出すように促す。

「……だって。行きましょうか」

「はい、姉様!」

立ち上がって移動を始める。歩いていて思ったが特待生の制服は私達が着ているものとちょっと違うのだなという。胸元に何か花をあしらった紋章が入っているのがちょっとカッコ良くてうらやましい。

「……?ミアさんどうかしましたか?」

じっと彼女の胸元を見ていたら逆に覗き込まれてしまった。

「あ、ごめんなさい。その胸元の紋章素敵ね」

「あ、これですか?他の人と違ってちょっと目立つなって思ってたんですけど……褒められると嬉しいですね」

「それ、特待生しかつけてないんですからもっと自分の優秀さを誇ったほうがいいですわよ」

ロベリアは相変わらずちょっとツンツンした言い方で褒めている。


講堂に到着すると、既にたくさんの先客がいた。

「皆集まったな。ではこれから説明をする」

いつの間にか壇上に立っているレーヴェ先生。

「これから二年の者と一年の者で組んでもらって学院内を探索してもらう。二年がエスコートする事。オススメの場所に連れて行ってやれ。一年は先輩と関わりを作っておくといい」

「では、探索を一緒にするものを探せ~!」

その言葉を合図に皆が動き出す。あらかじめ決めていたのか一瞬で組む人たちもいればどうすればいいのかわからず右往左往しているところを掴まる一年もいる。

「さて、どうしようかしらね……」

と、呟いてはみたもののロベリアとエイリーンが既にたくさんの二年生に勧誘されている。

「ねぇ、二人とも」

「何々?」

「どうしましたの?」

押しの強い二年生に辟易していた二人が好機を見たと言う風にこちらによって来る。

「あの中にいい人っていそう?」

「んー……微妙なところかしらね」

「家柄で言えば良いところはいましたけどね」

「もしよかったら、私が誘いたい人がいるんだけどいいかしら……?」

脳裏に浮かぶのはあの人たちだ。

「おぉ!良いわね」

「構いませんわよ」

二人とも賛成してくれて一安心だ。後は私が誘いに行くだけ。さっき見た限りあの二人はいらっしゃるようだがもう組んでしまったであろうか。

「ここで頑張るのよ私……」

「えらいねぇ」

気合いを入れようと息を吐いた瞬間後ろから手が伸びてきてぎゅっと抱き締められた。

「ほぁ!?」

「かわいい後輩にはいっぱい案内してあげないとなぁ」

「ちょっと!びっくりしてるでしょ!いきなりはやめなさいっていつも言ってるじゃない!」


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